ライブラリー

Structural Integration The Journal of the Rolf Institute® / 2012年6月号

Library / 論稿(日本語訳)

イールディング
― ジャーナル掲載論文 2篇

ロルフ・インスティテュートの機関誌『Structural Integration』2012年6月号は、表紙に田畑浩良のイールディングのワークを掲載しました。同号に掲載された、キャロル・アグネセンスとの共著論文と、田畑によるケーススタディの日本語訳です。

表紙写真:2011年3月の東日本大震災後、宮城県でロルフムーブメント®インストラクターの田畑浩良が、高校生に応急的な支援として「イールディング」の技法を用いている。
表紙写真:2011年3月の東日本大震災後、宮城県でロルフムーブメント®インストラクターの田畑浩良が、高校生に応急的な支援として「イールディング」の技法を用いている。

論文 1

イールディング

触れること、プレゼンス、そして全体性の生理学に関わる

キャロル・アグネセンス、田畑浩良
認定アドバンスト・ロルファー™/ロルフムーブメント®インストラクター

この世に水ほど柔らかく、イールドするものはない。だが、硬く柔軟性のないものを溶かす力において、水に勝るものはない。柔らかいものは硬いものに勝ち、穏やかなものは頑ななものに勝つ。 老子『道徳経』

概要

私たちは10年以上にわたり、身体の探究を革新してきたボニー・ベインブリッジ・コーエンがボディ・マインド・センタリングの体系で最初に述べた、発達上の最初の動き「イールド」を探究してきました。本稿は田畑浩良(ヒロ)とキャロル双方の寄稿をまとめたものです。構造、動きのパターン、協調、知覚を変化させるこの穏やかなアプローチについて、ヒロの実践と洞察は、クライアントの写真、細胞生物学と細胞外マトリックスの理解を通して示されます。キャロルは発生学と動きへの気づきの文脈でイールドを探究します。本稿は私たちの共同研究の簡潔な概要です。

イールドは発達上の最初の動きです。受動的に明け渡すこと、あるいは「何もしないこと」と誤解されがちですが、実際には能動的に関係へ入ることであり、ほかのすべての動きの基盤となる基本的な運動行動です。母親の胸で安心して休む乳児を思い浮かべてください。両者のあいだの、はっきりと感じられる接触を感じてみましょう。乳児がこの接触にイールドする場合と、筋緊張の弱さや母親との絆の欠如によって崩れてしまう場合とでは、その質と実感に違いがあります。

イールドは、ほかのすべての発達上の動きと、世界との基本的な関係の基盤です。(注1)

イールディングという動きは私たちを環境との接触へ導き、重さを重力へ委ねられるようにします。身体の質量の重さを重力へ渡すと、それに応じた上昇感が構造を通って生じ、ほかの身振りや動きの表現を支えます。

イールドは内受容感覚、すなわち内臓や身体内部の組織から生じる感覚を読み取り、解釈する能力の鍵です。(注2)気づきを支え、内的生活への理解を深め、豊かにする動きです。イールディングは、感覚があふれ出ることを育みます。感覚が心地よくても、恐ろしくても、もどかしくても、喜ばしくても、苦痛でも、その瞬間の快・不快にイールドし、体験の真の土台とともにいることができます。イールドから生まれるこの身体的理解は、表現へと流れていくかもしれません。一瞬のイールディング、地面に委ねるほんのわずかな気づきを許すことで、慣れ親しんだ神経学的な運動経路の地図が描き直され始めます。イールドは、動きの表現を規定する張力パターンを変えるために欠かせない要素です。

テクノロジーによって「接続された」21世紀の文化では、せわしない生活の動きの語彙から、イールドする能力がしばしば抜け落ちています。私たちは忙しい予定をこなして駆け回り、地に接する身体の重さや環境資源による支えから離れがちです。その支えは、骨の重さにイールドすることを許す大地から来るのかもしれません。そうしてカートを押し、歩き、約束に間に合うよう走り、筋膜を動かし、本に手を伸ばし、愛する人との感覚豊かな接触に身を休めるのです。

関係のなかで全身への気づきへ入るという、イールドの能動的な性質が、すべての運動パターンの基盤です。成人にとってイールドは、自分、他者、物理的世界との親密な接触を支えます。最も基本的には、イールドするとは重さを感じ、許すことです。この動きは、物質としての身体と、それを包み込む重力場との、根源的な定位の関係を支えます。

探究

少し立ち止まり、自分がどう座っているかに気づいてください。椅子の支えに休んでいますか。それとも、椅子や床の支えから離れ、慣れた形や緊張した形で身体を保っていますか。読み続けるときの身体の形に気づきましょう。身体、目、首の緊張に気づき、その緊張の保持パターンがつくる形にイールドしてください。感じ、そこへ呼吸し、それを知りましょう。読む行為に結びついた身体の形や呼吸パターンの感覚的な質を、言葉にできますか。そのパターンへの気づきが深まると、身体の形は変わり始めますか。

イールドのごく簡単な例は、日々の実践にも現れます。クライアントはテーブルに横たわっていても、まだそこに到着していないことがあります。身構えたり、自分の重さを保持したりしているのです。四肢を穏やかに揺らす、下から重さを支える、言葉で促すなどして、テーブルへ「イールド」するのを助けられます。あるいは、保持していることに注意を向け、気づきの機会にすることもできます。関わり方はさまざまです。重さを許すこと(イールド、すなわち気づきを伴って出会い、許すこと)によって、固有受容感覚、定位、自己理解についての知覚も高まります。(注3)

クライアントとの接触にイールドすることは、私たちのタッチに情報を与えます。触覚は胎内で最初に発達する感覚です。触覚的コミュニケーションは、人やほかの動物が接触を通して伝え合う手段です。触覚の発達と、ほかの感覚の発達との関係は、多くの研究の対象となってきました。視覚と聴覚が保たれていても、十分に触れられたり抱かれたりしない人の赤ちゃんは、生存に著しい困難を抱えることが観察されています。一方、視覚や聴覚がなくても、触覚を通して知覚できる赤ちゃんのほうが、はるかに健やかに育つ傾向があります。イールディングは、真に接触を伴うタッチの基盤です。多くの生命体は触れられることに応答しますが、視聴覚を備えるのはその一部なので、触覚は基本的な感覚と考えられます。

イールディングは、情緒的・社会的な絆を身体的に表現し、支えます。乳児が自分を支える面へ重さをイールドするとき、まず母親の身体や大地との関係で絆が経験されます。支えが安全で、自分の必要に応じるものと感じられなければ、乳児は十分にイールドできず、絆も完成しません。適切な接触と抱かれることは、絆の形成と心身の健やかさに不可欠です。これは胎内の細胞レベルで始まり、生涯を通じてさまざまな形で続きます。(注4)

発生学からの寄与

胚発生の研究は、一瞬ごとに原初的なイールドの働きを示します。卵子(拍動する物質・重力)と精子(内在的な運動性・電磁気)の出会いは、変容をもたらす接触へ入ることです。受精卵、すなわち接合子は、生物学的な駆動力によって子宮壁へ着床します。母親のホルモンの流れや神経学的な傾向が、妊娠を迎え入れる場、あるいは拒む場をつくることがあります。どちらの運動行動も、高揚や落胆というホルモンの浴を通して、発達する胚に直接刻まれます。胚は、うねり、振動する可能性です。しかし子宮環境が硬直、恐れ、恐怖に満ちていれば、胚は固有の生理的な内在運動性にイールドできません。それに呼応して、子宮の場も着床の安全な土台を引き上げます。キャロルは、ロルフィング、ロルフムーブメント、クレニオセイクラルの実践で、自分の内的な傷つきやすさ、柔らかさ、内なる知にイールドする能力には、こうした言葉以前の胎内の力動がしばしば表れると気づいています。

胚の膜:私はどこにいるのか

原初的なイールドは、容器や包みとしての胚の膜の発達を開始します。初期の胚の皮膚境界は細胞1個分の厚さしかありませんが、その連続性が全体性と安全の実感を育みます。私たちは、母親と重力との関係を通して、重力への最初の定位を経験します。母親の定位感覚は、重力のなかにある胚の質量にとって、定位の刻印となります。胎内では、母体から胚への交換を通して栄養が流れたり妨げられたりします。自律神経系のトーンは、この原初的な関係を通して設定されます。この包みの膜の連続性は、内臓の内張り、リンパ、頭蓋膜、結合組織などを形成します。内側では、この膜の重なりが内的感覚と、その解釈(内受容感覚)を養います。外側では皮膚が、自分と他者、世界との境界を形成します。皮膚の包みは、保護と安全の感覚を与えます。それでもこの境界は透過性をもち、自分、他者、環境との動的な交換を可能にします。

施術者がイールドの感覚体験と、その身体化された状態への受容性を育むにつれ、施術の場に支持の土台が生まれます。それによって、クライアントが自分の内でより深く静まり、落ち着くために必要な場が働き始めます。こうして、連続性と安全感をともに生む膜の層に、セッションでより容易にアクセスできます。成人の膜の「包み」は、発達の原初的な膜という胚の起源にまで及びます。緩む場と境界をつくる組織が、発達する胚の境界を形成します。施術者がこの膜の層に働きかける判断は、個人的な境界を必要とするクライアントから生じることがあります。それには、強い内的感覚のなかに落ち着き、それを内に収めることへの身体的理解を広げることが含まれます。イールドの動きに働きかけることは、自分、他者、世界との関係における自己調整能力を深める助けになります。

施術者は、クライアントの「包み」が防御的だったり、透過的すぎたりすると気づくかもしれません。この内的な気づきの幅に対して、イールドは、自律神経系の初期の刻印や「設定値」を変える道筋になります。侵襲的な出来事(手術、身体的・言語的・感情的な暴力など)の後には、イールドが、特定の出来事の反復する循環を抜けていく助けになります。クライアントが「物語」の下へ降り、感覚に入ることを支えます。施術者とクライアントがともにイールドの動きに関わるとき、第一のセラピストである重力との新たな関係が生まれます。重さと質量についての深まり、身体化された実感から、深みから浮かび上がる動きが生じます。内受容感覚は強い感覚に意味を与えます。感覚は結合組織の基盤を意識あるプレゼンスで満たし、瘢痕を通じてフィードバックします。膜の包みは全身を流れる感覚の媒体であり、身体化されたプレゼンスは三次元的です。

足場依存性と細胞の成長

この節の導入として、ヒロは、細胞の足場依存性が生命の本質的な特徴の一つであることを強調したいと考えています。

巨視的には、これをイールディングとして捉えられます。生命にはイールドするためのマトリックスが必要です。それにイールドし、相互作用することで、細胞の内在運動性、すなわち「動き」が生まれます。成長のための最初の原初的な動きは、子宮のマトリックスに胚がイールドすることです。細胞・胚は生きるためにマトリックスにイールドします。細胞生物学では、培養細胞の生存と成長には足場として細胞外マトリックス(ECM、注5)が必要なことがよく知られています。トリプシンという酵素で細胞をECMから切り離すと、培地に十分な栄養と増殖因子があっても、細胞は単独では生きられません。細胞生物学では、これを足場依存性と呼びます。(注6)正常細胞は足場となるマトリックスに接触し、相互作用する必要があります。胚の成長時には、そのマトリックスは子宮です。ここで「動き」とは何かという問いが生まれます。生命の最小単位である細胞の研究は、細胞の成長が足場となる基質だけでなく、細胞の内在運動性にも依存することを明らかにしています。

分子細胞生物学によれば、細胞の生存には、足場の十分な面積に広がることが必要です。興味深いことに、細胞が周囲とつながる足場の面積が不足すると、細胞骨格のダイナミクスを発現できません。その結果、アポトーシス、すなわち細胞死が起こります。基本的に、試験管内の細胞は足場のある方向にしか動けません。マトリックスへ足場を得る細胞の動きこそ、イールディングの働きです。細胞の内在運動性はマトリックスに依存するようです。したがって、マトリックスへイールドする行動は、内在運動性を意味する細胞骨格のダイナミクスの発現を誘い、細胞と、その周囲であるECMとの相互作用を促します。成長する細胞と足場のマトリックスとの相互関係は、細胞成長を秩序づけるだけでなく、子宮という土台とそこに宿る接合子、さらには地域環境と個人の相互性にも通じます。

トラウマを保持する組織の特定の細胞は、細胞骨格のダイナミクスを失っていたり、あらゆる方向へ広がる能力が低下していたりするかもしれません。その結果、生体内の一部の細胞では、細胞骨格の重合・脱重合のパターンが保持され、個体全体の「呼吸」のようなゆらぎに影響する可能性があります。(化学における重合は、単量体分子が反応して三次元の網目や鎖を形成することです。注7)

細胞外マトリックスを通じたゆらぎ

分子細胞生物学者たちは(注8)、ランダムに動く細胞が周囲と相互作用することから、多細胞系の秩序がどのように生まれるかを理解しようとしています。個々の細胞の動きは、本質的に生物物理学的なゆらぎの影響を受けます。ヒト胚性幹細胞(ES細胞)も胚自体も、周囲に非常に敏感です。

集団としての動きが効率的になるには、個々の細胞がある程度ランダムにゆらぐことが重要だと示されています。システムは個々の細胞のゆらぎを積極的に利用して自己組織化します。たとえば研究者は(注9)、ランダムなゆらぎであるアクチンとミオシンのあいだのブラウン運動が、筋収縮に利用されうることを明らかにしました。多細胞生物のモデルである細胞性粘菌は、個々の細胞のランダムな振動を集積して、組織化された動きをもつ集団形態へ変わります。(注10)個々の細胞がランダムにゆらぎ、周囲と相互作用することで、秩序へ方向づけられるのでしょう。したがって、生体の秩序は細胞がどの程度ゆらぐかに依存します。細胞のゆらぎはその内在運動性を反映しうるため、個体の一つのゆらぎは「呼吸」のようなものです。

かつてECMは、「細胞の認識部位」を提供する単なる基質として扱われていました。(注11)しかし近年の研究で、科学者はECMが細胞に情報を与えると認識するようになりました。ECMは自己組織化の文脈で細胞と相互作用します。細胞の運命(増殖・分化・死)は、ECMの物理的強度や幾何学的形状によって制御されます(図1)。ロルファーやロルフムーブメントの実践者は、構造の統合にECM(コラーゲン・マトリックス)の秩序が重要なことを知っています。同様に、ECMをつくり組織化するには細胞の状態も重要と考えるべきです。イールディングによる介入は、細胞の状態(内在運動性・成長)に作用しえます。イールディングの動きは、細胞のゆらぎを高め、細胞とECMとの相互作用を促すことによって、連続性と秩序を育めるかもしれません。

細胞レベルでは、ECMは細胞の成長と、細胞が集まって器官・組織などの生命維持機能を形成することを促します。一貫して見られるのは、内的な成長と外部環境の相互作用です。胚形成の8週間を通して、周囲の液体環境が胚の形づくりを先導します。エピジェネティクスは、遺伝子の働きに先行して胚を形づくる環境の力や代謝の場を認めています。オステオパシーの観点では、こうした場は成人の形をつくり続け、健康を促します。オステオパシー医ジョン・マックパートランドは「胚発生の力は、患者における治癒の力として存続する」と述べています。(注12)私たちは、強い意志や遺伝子に結びついた指令の産物であると想像するのと同じくらい、環境による形づくりの産物でもあります。

図1:細胞には、ECMとの十分な接触面積が必要である。フィブロネクチン(ECMタンパク質)との接触面積が十分なら、細胞は広がり、生存・増殖できる。Science誌276巻(1997年5月30日)のデータを参考に田畑浩良が作図。
図1:細胞には、ECMとの十分な接触面積が必要である。フィブロネクチン(ECMタンパク質)との接触面積が十分なら、細胞は広がり、生存・増殖できる。Science誌276巻(1997年5月30日)のデータを参考に田畑浩良が作図。

探究

少し時間をとり、大勢の騒がしい群衆のなかにいる自分を想像してください。ロックコンサートや、ニューヨークのラッシュ時の地下鉄かもしれません。呼吸はどうなり、どんな感覚が身体を流れますか。

縮こまりますか、広がりますか。それとも最寄りの出口へ走りますか。

気持ちのよい夏の日に、美しい庭で座っている自分を想像すると、身体の形はどうなりますか。システムは収縮しますか、拡張しますか。それとも、どちらでもありませんか。

私たちは環境との動的な関係に包み込まれています。「わが家」と呼ぶ世界が身体と信念を形づくり、行為に意味を与えます。身近な環境は、文化や宗教の信念、政治や法がしばしば支配的に働く、より大きな世界の一部です。私たちの運動行動は、周囲との継続的な交換を表します。周囲の音や感じのトーンにイールドする体験を支えてくれる場所を想像してください。この世界に包み込まれている全身の感覚に気づきましょう。

誕生:重力への通過儀礼

誕生時、幸運な赤ちゃんは母親のお腹に置かれ、栄養を与えてくれる乳房を求めて、文字どおり身をくねらせながら胴体を這い上がります。母親のお腹を這い上がる能力は、重力場のなかでどちらが上か下かを知らせる、前庭系の生得的な神経機構に依存します。赤ちゃんは乳首を探し当て、口を寄せて吸い、飲み込むために喉と舌を通してイールドします。吸う、飲み込む、呼吸するという生存の身振りには、いずれもイールドという基底の動きが必要です。

イールド、押す、伸ばす、つかむ、引く、放すという運動行動は、生涯にわたり続きます。乳児の成長とともに、これらの身振りを通して協調が育ちます。表現の流れの根底には安全感があります。自分の本能や、周囲の人々・環境との関係にイールドすることは、安全でしょうか。過覚醒は、逃げる、闘う、絶えず危険を警戒するという交感神経性の切迫感を、筋のトーンと行動に与えます。あるいは、内に収まる感覚や安心感がないと、安全、接触、逃げ道を求めて手を伸ばす身振りを、クライアントが絶えず続けることもあります。施術関係のなかで、安全と膜による包まれのマトリックスにイールドできるようになると、内的な安心感と自己調整によって、以前の自律神経系の刻印が変わりえます。

セッション中に自分の内的感覚や内省にイールドすることは、施術者が本能、心、知ることから応答するのを支え、クライアントとの誠実で身体化された関係を育みます。(注13)

イールドは、施術者、クライアント、周囲の環境のあいだの同調を支えます。バイオダイナミック・クレニオセイクラルの理解では、同調とは、自分と他者だけでなく、身体のすぐ周囲の空間や施術室の周縁にも「出会い」、接触し、気づきのなかに落ち着けることを意味します。こうした定位の次元に気づきを保つには、施術者が自らのテンポとペースを落とす必要があります。同調は知覚と全体の感覚を広げます。キャロルは、ゆっくり働くとセッションが深まり、変容の過程が高まることが多いと感じています。

イールドの働きによって、キャロルは自分自身の身体感覚との接触を保ち、より容易に、穏やかに働けます。それがクライアントの内的感覚への気づきの持続も助けます。両者は、同調した関係から生まれる広がりに同調し、周囲の空間への知覚が高まります。外の鳥の声、交通の動き、遊ぶ子どもたちの声に気づくこともあります。環境のあらゆる音がセッションを養い、自分たちの世界に包み込まれているという身体的現実に、双方を開くことができます。キャロルはクライアントだけに焦点を絞る代わりに、全身の感覚世界に同調すると、自分の身体感覚を情報として解釈でき、それが施術関係を支えます。

探究

最近のセッションの自分を思い浮かべてください。意識して気づきを自分へ戻した瞬間はありましたか。それとも注意はほとんどクライアントだけに向いていましたか。立ち止まることを決めましょう。自分の内的状態に気づくひとときを許してください。心拍、行っているワークの喜び、何かが変わらないもどかしさ、呼吸かもしれません。感覚世界のどんな側面が語りかけても、耳を傾けてください。自分の身体的理解から、クライアントへ表現すべき何かがあるかもしれません。

ケーススタディ:エレノアとのセッション

エレノアは哲学を専攻する26歳の大学院生です。聡明で注意力もありますが、過食と嘔吐を繰り返し、その後には身体構造が崩れ、自己の感覚が薄れます。キャロルとの最初のセッションから、背面の身体的支持を感じる難しさ、特に踵、心臓の後ろ、後頭部を通した支持の問題に取り組み始めました。当初は身体の重さをテーブルへイールドできませんでした。背中を手放すと、感じすぎてしまうと言いました。視線は一点に集中しがちで、周囲のより広い場を感じられませんでした。空間での定位は上方・前方へ向かい、前へ引っ張られ、しばしば制御を失うように感じると説明しました。

エレノアは5歳のとき、激しい交通事故で母親が亡くなるのを目撃しました。その記憶に苦しめられ、痛みと恐怖から逃れるため、喫煙、過食、嘔吐によって感情状態を抑えていました。まず、速い神経系のテンポを落とし、落ち着く方法としてイールディングの動きを探りました。活性化の状態をトラッキングし、過去の胸が張り裂ける瞬間が自発的に記憶に現れるたびに立ち止まり、穏やかに触れ、見て、感じることで、少しずつ、自分の身体に落ち着く、より豊かな感覚体験を取り戻しました。記憶の痛みを抑圧し、心のなかで逃げる代わりに、その痛みにイールドし始めました。

自分を内に収める包みの身体的実感を強めるにつれ、新たな安全と支えの感覚が生まれました。周囲の場から新たな実感と安心を探り始めました。皮膚の境界を全身で感じられるようになるにつれ、その定位能力が、彼女を悩ませていた「私はどこにいるのか」に答え始めました。今では、母親の死を、より大きな時空の場の文脈に位置づけて語ります。自分の人生の連続性と、そのなかの方向を見られるようになっています。幼い日のトラウマを忘れることはなく、その早い喪失の心理的な複雑さを解きほぐし続けるでしょうが、内なる深い資源につながる能力が、自らの人生を歩み続ける支えになります。このワークは8回のセッションにわたりました。

原初的なイールドをセッションに取り入れる

ヒロは、この本質的で基本的な「力」をロルフムーブメントに統合し、原初的なイールドを教え、用いる方法を発展させ、洗練してきました。(31頁の「イールディングを用いたケーススタディ」も参照。)この動きが身体化されると、押す、伸ばす、つかむ、引くという行為が、驚くほど自然に生まれます。ヒロのイールド概念の活用は、イメージに基づく理想の姿勢・動きと、重力との関係で休み、動く動的な姿勢との違いを、受講生が理解する助けとなりました。

ヒロはまた、組織のリリースを行わない、動きに基づくロルフィングの10シリーズの基盤としてイールディングを取り入れています。図2の写真のように、イールディングに基づくワークは構造に深く持続的な効果を及ぼしえます。このクライアントは予定の都合で、第1回から5週間来られませんでしたが、介入なしでも、さらに変化していることが見て取れます。「5週間後」の写真は第2回の前です。10回の後、慢性の肩の緊張を手放せ、ベリーダンスのパフォーマンスも向上したと報告しました。合計15回のセッションが統合を促しました。

図2:イールディングのワークが構造への持続的な効果を支える様子。
図2:イールディングのワークが構造への持続的な効果を支える様子。

イールディングをどう用いるか

イールドの動きは、図3の模式図のように、ロルフィング・ストラクチュラル・インテグレーションの原則によくなじみます。イールドは技法ではなく、気づきが身体化された状態です。したがって施術者はイールドを「行う」のではありません。それは他者や環境との関係における、自己の三次元的な感覚への気づきの場です。この気づきを背景として、イールドの感覚状態を、構造、ムーブメント、クレニオセイクラルなど、どんなセッションにも、さらには人生の出来事にも織り込めます。生じてくる瞬間への受容性を育むことで、身体化されたプレゼンスをもって、セッションの過程に関われます。以下が私たちの指針です。

図3:イールディングとロルフィングSIの原則の関係。田畑浩良作図、2011年。
図3:イールディングとロルフィングSIの原則の関係。田畑浩良作図、2011年。

1.安全なマトリックスと感覚を提供する。クライアントがテーブルにイールドしたり休んだりできない部位に触れます。身体が変容の準備を始めるにつれ、関節などが減圧される様子を観察します。

2.身体が内在運動性を表せない所で、ゆらぎを高める。自分自身のゆらぎのパターンに、呼吸とともについていってもらいます。施術者が、内在運動性の乏しかった領域へ注意を向けるのを助けると、そこへ振動が伝わり、解放や内在的な動きの応答などのプロセスが促されることがあります。

3.ゆらぎを「ウォーターキューブ」全体へ統合する。ヒロは、知覚のモデルとしてウォーターキューブのイメージを用います。個々の細胞を全体構造と密接につながる泡として知覚すると、役立つかもしれません。図4はそれを想起させるイメージです。(注14)図2のクライアントには組織のリリースを行わず、コヒーレンシー(集合的なゆらぎ)に基づいて働きかけました。

図4:細胞同士の関係を感知する方法として、ウォーターキューブを知覚する。Dreamtime Photo、画像番号11675780。許可を得て使用。
図4:細胞同士の関係を感知する方法として、ウォーターキューブを知覚する。Dreamtime Photo、画像番号11675780。許可を得て使用。

4.身体が自らを調整し、組織化するシステムを信頼する。変化と統合が自発的に生じるのを待ちます。拡張するときに介入しません。触れることを通して身体の拍動に耳を傾けます。

呼吸の波を高めることができます。圧は非常に穏やかであるべきです。ごく微細な接触でも、自励的な(共鳴する)振動を伴う入力なら、大きなエネルギーを伝える可能性があります。(注15)施術者は、気づきと「聴くこと」によって、身体構造の拍動のリズムをトラッキングできます。

トラウマへの応用

イールディングのタッチは、トラウマを経験した人に、特有の質の接触を提供します。施術者のプレゼンスも、周囲との安全感と接触を再導入する橋渡しとして働きます。2011年3月の東日本大震災後、ヒロは札幌で、臨床心理士、看護師、ボディワーカーなどの専門職ネットワークに、イールディングを用いた「トラウマの応急的支援」のワークショップを提供しました。その意図は、本人たちの回復と、他者を助ける能力を支えることでした。この活動では、認定ロルファー/ロルフムーブメント・プラクティショナーの扇谷孝太郎と藤本靖が協力しました。東京でも、イールディングによる身体的な応急支援のワークショップが開かれました。参加者は、落ち着きと安全のマトリックスとなるヒロの手に足をイールドすることで、安全感と安堵を取り戻せました。

震災から2か月後の2011年5月、ヒロはロルファーの北畠重信、チームリーダーのアレ・ドゥアルテ、臨床心理療法家たち(ソマティック・エクスペリエンシング®を実践するグループ)とともに、宮城県の津波被災地を訪れ、イールディングのセッションを行う機会を何度か得ました。ある女性は津波で脚を骨折し、その側の足裏の感覚を失っていました。イールディングと感覚のトラッキングによって、その足の感覚を再発見しました。また、周囲の自然の音を楽に聴けるようになり、突然、松や葉の匂いにも気づきました。安堵し、地に足がついた感覚を得ました。多くの人は、イールディングで安全な感覚を取り戻せます。施術者が提供する、支えとなるマトリックスの安全のなかで、イールドする接触によって、トラウマを負った組織は癒え始めます。

もう一人は図5の高校生です。宮城県に住み、私たちのチームの活動場所の近くで開かれていた、震災支援のシンポジウムに母親と来ていました。私はワークを試すよう誘いました。本人から震災による被害の話は聞きませんでしたが、被災地に住み、テレビの報道も見ていました。それが呼吸などのシステムに影響しているかもしれないと思い、楽に呼吸できるよう助ける意図をもちました。座位で椅子へイールドし、落ち着いた後、彼はより心地よく呼吸できました。

図5:2011年の東日本大震災後、宮城県で高校生に働きかけるヒロ。
図5:2011年の東日本大震災後、宮城県で高校生に働きかけるヒロ。

結論

呼吸し、感じる身体は、周囲の土壌、植物、元素から、養いと、自らを成す物質そのものを受け取る。そして絶えず自らを大気へ還している……絶え間なく自分の外へ広がり、同時に世界を自分の内へ呼吸している。(注16)

イールドの動的な動きは、生命の最初期から観察できます。細胞成長のダイナミクス、受容的な子宮の土台、胚の成長、発達段階のいずれについて語る場合も、イールドは存在のあらゆる側面の基盤です。

イールドは、自己を知り、他者との関係で絆を結ぶ能力の基盤です。この動きを全身で感じる感覚を深めると、私たちは周囲の一部になります。重さを重力へイールドすることは、絆を結ぶという本質的な必要を支えます。母親の子宮という土台や、養育者の愛情ある接触を通して、どのように触れられ抱かれたかという細胞の記憶が、私たちの関係を彩ります。自分が抱かれたように、他者を抱くことができます。イールドは周囲のマトリックスについて教えます。生きたマトリックスの足場、子宮、この大地、人生を貫く時空の連続体のいずれであれ、それは形成に「かたちと情報を与え」続ける場です。私たちは常に、自己、他者、環境との動的な関係のなかにいます。

身体を第二の胎盤と考えることもできるでしょう。私たちは、周囲という子宮の内で親密につながっています。イールドは、自分の人生や世界で絶えず変わるテンポ、リズム、騒然とした、あるいは穏やかな出来事と関係を結ぶために欠かせない働きです。

論文 2

イールディングを用いたケーススタディ

関節と前弯への関わりに応用する

田畑浩良
認定アドバンスト・ロルファー™/ロルフムーブメント®インストラクター

著者注:1999年にキャロル・アグネセンスとレベッカ・カーリによる最初のロルフムーブメント・トレーニングを受けて以来、私はキャロルと、ロルフィング®SIとロルフムーブメント・インテグレーションへのイールディングの応用を探究してきました。本号10頁の共著「イールディング:触れること、プレゼンス、そして全体性の生理学に関わる」を参照してください。

関節リウマチ、結合組織疾患、骨粗鬆症、妊娠など、触れる圧に敏感なクライアントには、慎重に触れる必要があります。伝統的な中国医学の陰陽五行思想では、5つの「証」(症候・現れ方)があります。私の鍼灸師によれば、私の証は呼吸器系に機能的不均衡が生じやすいそうです。この証の人は人口の約5分の1で、皮膚が敏感で、外部からの圧刺激を受け取りやすいとのことです。このような人や、本稿のケースのような人には、ワークの安全性と有効性の観点から、強い圧による介入は役立たないかもしれません。代わりに、動き、内在運動性を重視するアプローチ、エネルギー的なアプローチなど、より間接的な介入が役立ちます。「イールディング」の技法はこの範疇に入ります。

以下では、ロルフィング®・ストラクチュラル・インテグレーションとロルフムーブメントにイールディングを取り入れ、重い症状が改善した3つのケーススタディを紹介します。各ケースでのイールディングの用い方を述べ、ケーススタディ後の考察で全体を大まかに論じます。

ケース1:膝を負傷したクライアント

51歳の女性です。膝の靱帯を損傷したままテニスをしたため、左膝の半月板を損傷しました。言うまでもなく、膝関節に強い慢性痛がありました。5つの主要病院を受診し、整形外科医や膝の専門医を含め、すべての医師から、X線とMRIの所見に基づき、膝はもう治らないと告げられました。人工膝関節への置換を勧めた医師もいました。負傷した膝の可動域は、屈曲90度までで、伸展も完全ではありませんでした。仰向けでは膝下にテニスボール大の空間がありました。可動域が狭く、一歩ごとに足を引きずっていました。膝のリハビリを試みてウエイトトレーニングを始め、頻繁にヒアルロン酸の関節注射を受け、鎮痛薬ロキソプロフェンも服用していました。

意図と介入

私の意図は、関節内の空間を増やすことでした。準備として、ほかの前弯曲線を減圧し、施術テーブルへイールドする必要がありました。(ユベール・ゴダールは、足部、膝、腰椎、頸椎、手の曲線と、その機能的な力動を「前弯」と呼びます。)このケースでは、膝に働きかける前に頸椎前弯を減圧する必要がありました。すべての関節がまとまりをもって共鳴すれば、制限・損傷のある関節も減圧しやすくなり、自然な位置を見いだせます。それが実現した後、膝の対向回旋、すなわち屈曲時の大腿骨の外旋と脛骨の内旋を教育しました。(注1)これにより膝関節の痛みが軽減しました。10シリーズ後の5回のロルフムーブメントは、腰椎の長さを保ち、前弯曲線が腰背部の圧縮パターンから自由でいる助けになりました。

ワークの結果

セッション後、負傷した膝の可動域が改善し、正座できるようになりました。最終的には仰向けで左膝をまっすぐ伸ばせました。歩くときも、左膝を右膝と同じように使う様子を観察できました。普通に階段を下りられ、ロキソプロフェンにも頼らなくなりました。図1はワークを通じた経過です。興味深いことに、ワーク後、生まれて初めてピーマンを食べられるようになりました。これは本能的な知覚の何らかの変化を示すのかもしれません。また、健康のために定期的な鍼やマッサージに頼る必要がなくなり、自信も得ました。

図1:ケース1の施術前後の写真。
図1:ケース1の施術前後の写真。

ケース2:股関節置換術と半月板切除術を受けたクライアント

65歳の女性で、関節リウマチによる全身の慢性痛がありました。雨の日の転倒で大腿骨を骨折し、左股関節を置換した後、左膝の半月板も切除しました。人工股関節の脱臼リスクがあるため、医師から左大腿を過度に外転しないよう助言され、その不安から左側を内側のラインだけで支えるようになっていました。図2の「施術前」では、左脚からの支持が少ないことがわかります。歩行も不安定に見えました。

意図と介入

第1回から仰向けでイールディングを行うと、身体の5つの前弯曲線が内側から減圧され、股関節が自然に位置を取り直しました。関節リウマチがあったため、シリーズを通して安全な環境で身体の内在的な動きの応答を聴き、それに従いながら、ごく穏やかな接触で働きかけました。身体の状態からイールディングが必要なアプローチだったケースです。この10シリーズは、各回の機能的な目標に基づきながら、すべてムーブメントとイールディングで行い、組織へのワークは行いませんでした。(これが私の臨床でのワークのスタイルになっています。)

ワークの結果

シリーズによって四肢からの支持とコアの空間が増え、本人は活力の高まりを報告しました。対側性の動きを伴い、歩行も安定しました。「1週間後」の写真は第2回の前で、すでに「第1回後」と比べ、ワークの統合による変化が見られます。特に各ダイアフラムの水平性が増しています。予定の都合で第3回と第4回のあいだには約5か月の中断がありましたが、写真は、この期間もバランスが持続していたことを明確に示しています。

図2:ケース2の施術前後の写真。
図2:ケース2の施術前後の写真。

ケース3:腰椎前弯を開く

7歳の男児で、最初のセッションは父親が亡くなった直後でした。母親は父親の喪失によるストレスに加え、難産だった出産時に頭部のトラウマを受けた可能性を心配していました。また、毎冬喘息に苦しんでいました。腰椎前弯が顕著で、首には弯曲がありませんでした(図3)。歩行には左右への広がりがありませんでした。

意図と介入

イールディングは前弯に対して非常に強力な手段になりえます。この子の10シリーズも、イールディングとほかのロルフムーブメントで行い、組織へのワークは行いませんでした。10回の後にも、出生時にトラウマを受けたかもしれない頭蓋に、変化の可能性が残っていました。後頭部の形は後弯曲線として、身体の5つの前弯曲線と密接に関わるはずなので、この頭蓋の問題が、脊柱の弯曲など身体のほかの部分に影響していたのかもしれません。そこでアドバンストのセッションでは頭部に焦点を当てるべきだと考えました。幸い母親が継続して連れてきてくれたため、さらなる変化を追うことができました。頭部への意図は、さまざまな方向へリーチできるようになることを願い、あらゆる方向から頭蓋を私の手にイールドさせ、キネスフィアを取り戻してもらうことでした。

ワークの結果

図3の写真は、組織へのワークを行わなくても明確な構造変化が起こったことを示します。セッションを通して頸部には二次弯曲とその力動が増し、各ダイアフラムの水平性も高まりました。走る能力と体操の成績も向上したと報告されています。第5回の後には、リレーで1位の走者を追い抜けました。セッションを受けてからの3回の冬には、喘息発作がありませんでした。

図3:ケース3の施術前後の写真。
図3:ケース3の施術前後の写真。

考察

3つのケースすべてで主な課題は、支持を高めることでした。特定の関節や接合部に関わるときも、前弯パターンのすべての関節に注意を払いました。イールディングは、圧縮された領域が開き、自発的に空間が増えるのを助けるため有益でした。どのケースでも、強い圧を避け、損傷部位に無理に変化を起こさないよう注意しました。ケース1・2では、テーブルでのワークと立位とのあいだのトラッキングに適切な時間を割き、重力のなかでの協調を促しました。どのケースでも、内側からの変化を促せる安全な場を提供することが鍵だったと感じています。

イールディングは妊娠を含む多くの状況で用いられます。2010年、イールディングを用いたロルフムーブメントのワークショップに、妊娠中のロルファーが受講生として参加しました。妊娠7か月から正期産までの9週間、別の受講生と毎週セッションを交換しました。提供・受け取りのいずれにも問題はなく、身体により動的な統合が育つ様子を観察できました。ワークショップの翌々日に破水し、その2日後、ちょうど満潮時に出産しました。本人は、その時機が自然と調和しているように感じました。これは、実践にイールディングを取り入れることが、圧に敏感なクライアントだけでなく施術者にも有益になりうることを示唆します。

初出:Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute®, June 2012(日本語訳)。文中の「本号10頁」などの頁数は掲載誌のものです。写真の方々の顔はぼかし処理済みです。

Structural Integration The Journal of the Rolf Institute® / 2018年3月号

Library / 論稿(日本語訳)

間(ま)を用いたワーク
― ジャーナル2018年3月号より

ロルフ・インスティテュートの機関誌『Structural Integration』2018年3月号(足の特集号)に掲載された、田畑浩良の論稿「間を用いたワーク」と、コラム「講師に聞く:足について」への回答の日本語訳です。

視点

間を用いたワーク

時間・空間・間主観性を通したイールディング・アプローチのさらなる洗練

田畑浩良
認定アドバンスト・ロルファー™/ロルフムーブメント®インストラクター

はじめに

アート・オブ・イールドは、穏やかで短い、しかし時機を精密に捉えた接触によって、効果的な構造変化が起こることを示します(Agneessens and Tahata 2012; McConnell and Tahata 2015)。図1のような大きな変化を促せるアプローチです。

イールディングのタッチは、身体の下に有効な「足場」を提供し、テーブルや地面へ、重力に向かってイールドできるようにします。身体は足場を見つけると、イールドしながら落ち着きます。私はこの落ち着きを「コンディショニング」と呼び、身体が変化する準備のできた指標と捉えます。この技法は、操作よりも、変容の基盤としてのコンディショニング、すなわち「場」を整えることを重視します。

図1:イールディングを用いたロルフィング®SIシリーズのケース1。施術前には膝の過伸展とO脚の傾向があった。筋筋膜のリリースを行わず、10回の後には構造が統合された。
図1:イールディングを用いたロルフィング®SIシリーズのケース1。施術前には膝の過伸展とO脚の傾向があった。筋筋膜のリリースを行わず、10回の後には構造が統合された。

コンディショニングが見られると、応答性の高い人では、施術者が意図的に触れる前に、今必要なプロセスが自律的な応答として起こることがあります。この場を整えるとき、セッションは「少ないほど豊かである」という感覚で進みます。私はすべてのセッションで、この感覚を目指しています。

アート・オブ・イールドは、洗練を重ねる生きた実践です。本稿では、コンディショニングを大きく高める近年の洗練、すなわち日本語でいう「間」への気づきを論じます。

アート・オブ・イールドのさらなる洗練

この洗練への最初の気づきは、テーブルに横たわるクライアントのなかに、施術者の立ち位置にとても敏感な人がいると気づいたことからでした。特定の位置関係では、クライアント、あるいは双方が不快で落ち着けなくなります。施術者の位置ごとに質の違いを感じ、「近すぎる」「圧迫感がある」「[ある部分が]反応し始めた」「落ち着いた」「何かが流れている」などと伝える人もいました。互いの心地よさに落ち着ける特定の場所を一緒に見つけると、私は触れずにそこにいるだけでも、クライアントが楽にテーブルへイールドできました。この現象は間に関係すると理解するようになりました。

間

施術者として、強く触れたり同じ部位への介入を続けたりするより、手を離す、あるいは一歩下がると構造がさらに変わる体験があるでしょう。自分がクライアントのときにも、施術者の接触を強制的、圧縮的、圧が過剰と感じ、ワークの特徴である拡張や空間の増大が妨げられたことがあるかもしれません。いずれにも間が関わります。ボディワークの間には、介入の時機、接触のペース、介入のタイトレーション、距離などが含まれるからです。

間は、空間と時間の双方に関わる日本の伝統的な概念です。間を理解するため東京を訪れたアーティスト、ニニア・スヴェルドルップ(2006)は、経験と知覚に基づき、次のように見事に述べています。

間、すなわち空白の空間、あいだ、静寂、休止、空、間隔、距離、タイミングなどは、日本社会全体に遍在しています。ただし通常、間という概念が語られるのは、主として伝統芸術においてです。

空間と時間は、ロルフィングのセッションを含む、世界のあらゆる現象に存在します。間という概念を考え、注意を向け、「よい間」を育むことは、イールディングに限らず、ロルフィングSIやロルフムーブメントのほかの要素でも実践をさらに洗練させます。実際、熟練した施術者はすでに間の感覚をよくもち、施術室でクライアントとのペースや位置関係を整えているかもしれません。意識的なことも無意識的なこともあります。バイオダイナミック・クレニオセイクラルで教える「空間と接触の交渉」のように、一部を意識している人もいます。私の提案は、間を意識して用いることで、セッションの質を高める可能性がさらに広がるということです。

空間への親和性

ロルフィングSIは、重力との関係を改善する身体の教育過程です。人の統合には、大地だけでなく三次元空間への身体の親和性も重要です。事故、けが、医療などによるさまざまなトラウマは、空間認識の偏りを生み、構造と機能に影響することがあります。ユベール・ゴダールも、キャリン・マクホーズとの対話(2006)で、側弯に関連してこれを述べています。

視覚は空間知覚と結びつくため、ソマティック・エクスペリエンシング®やEMDR™で視覚に働きかけ、偏りを修正できる可能性があります。しかし、空間知覚に結びつく、より原初的なほかの感覚能力も経路となるかもしれません。多くのロルフムーブメント実践者は、身体周辺の「キネスフィア」という境界を見いだせますが、この能力は視覚とは独立して働きえます。視覚などいずれの方法でも、失われた知覚を取り戻せば、身体の空間への親和性が高まると考えられます。それが過去のトラウマの状況との関係の質を変えるかもしれません。

たとえば鉗子分娩だった人は、頭頂の安全感が乏しく、それが成人後も発達や頭上空間の体験に影響することがあります。トラウマのため、頭部とその空間との親和性が低いといえるでしょう。予防接種のような一般的な医療も、空間との関係で身体に影響しえます。私は多くのクライアントで、注射部位として一般的な三角筋周辺の空間との親和性が低いと観察しています。その部位の予防接種体験が、一種の心理的境界をつくる人もいるのかもしれません。Salehほか(2015)は、予防接種が凍結肩の原因となりうるとまで述べています。

図2:間は、空間における施術者とクライアントの関係に内在する。双方が落ち着いてコンディショニングが生まれる「よい間」の配置は、各セッションに固有である。この図では施術者はAでよい間を見つけた。A′は近すぎ、Bではクライアントが身体の一部に軽い緊張を感じ、Cでは施術者がためらいを感じ、クライアントも同様に不快だった。
図2:間は、空間における施術者とクライアントの関係に内在する。双方が落ち着いてコンディショニングが生まれる「よい間」の配置は、各セッションに固有である。この図では施術者はAでよい間を見つけた。A′は近すぎ、Bではクライアントが身体の一部に軽い緊張を感じ、Cでは施術者がためらいを感じ、クライアントも同様に不快だった。

身体的実践への間の応用

接触せずに間が構造へ及ぼす効果を調べるワークショップを数回行いました。結論は、施術者とクライアントのあいだには、双方が安全で心地よく感じる「よい間」をつくる位置関係が、しばしばあるということです。「よい風水」のように考えてください。別の配置はクライアントに緊張や圧迫感を生み、開始位置として不適切なことがあります(図2)。その位置は、各クライアント、組み合わせ、さらには各セッションに固有です。

もちろん離れた所から徒手ワークはできませんが、よい間を探す練習は、双方が安全を感じて落ち着く根本的な関係に、空間感覚の何らかの質が必要なことを示します。興味深いことに、数十回のワークショップで私と参加者は、図3のように、よい間での空間配置だけで、距離を隔てても構造変化が促されるのを目撃しました。施術者役が専門家ではない初心者でも同じでした。

よい間を見つけるには、施術者の身体的共鳴、内受容感覚、双方を取り巻く場を含めることが必要です。ワークショップの初心者のほとんどが、立ち位置ごとの質の違いを感じられたので、間の変化を感知する能力は普遍的なのでしょう。

間による持続的な変化

間には空間的・時間的な次元があると述べました。そこで自然に生まれる問いは、間を用いた変化が時間を通して続くか、持続性があるかということです。

ほかで述べたとおり(Agneessens and Tahata 2012; Tahata 2014)、イールディングの効果は持続します。ここでは接触なしで、よい間の配置だけから生まれる効果が続くかに関心がありました。ある参加者がワークショップの4日後、ロルフムーブメントを受けに来たときに観察できました。図4の左の2枚はワークショップでの変化です。3枚目の4日後の写真でも変化は保たれています。この人は以前、認定ロルファーによる基本10シリーズと、上級インストラクターによるアドバンスト・シリーズを受けており、間違いなくそれらが身体の応答性と資源を支えていました。写真は、間のワークがその土台の上に、特にコアの空間を広げる、さらなる変化を可能にしたことを示唆します。

図3:間のワークの身体への効果。施術者は身体的実践の初心者だったが、両ケースで腹部のコアの空間が施術後に開いて見える。左のクライアントにロルフィング経験はなく、右は過去5年間に10シリーズを受けていた。
図3:間のワークの身体への効果。施術者は身体的実践の初心者だったが、両ケースで腹部のコアの空間が施術後に開いて見える。左のクライアントにロルフィング経験はなく、右は過去5年間に10シリーズを受けていた。

間をどう用いるか

ここでは実践の指針を示します。まず間の心地よさ・不快さを感じ、接触せずによい間が構造へ及ぼす効果を探ります。その後、イールディングのタッチに間を取り入れることを論じます。

純粋な間を探究する

最初の練習では、相手を見つけ、一人が施術者、一人がクライアントになります。次に交代して、双方の役割から間を体験します。

1.施術者は空間を探り、クライアントとの関係で最初の心地よい位置を見つけます。臍の少し下にある腹部の動きの中心、肚を感じやすく、肚が場へ無理なく広がる場所が手がかりです。

2.ほかの心地よい位置も探り、不快で落ち着けない場所にも気づきましょう。各位置で、その間にどう応答しているかをクライアントに尋ねます。身体感覚、距離に対する快・不快、安全感の有無、落ち着けるかどうかなどがあるでしょう。

3.最も心地よく落ち着ける場所(位置A)を選びます。自分の感覚と相手の報告から、そこが最良の間だと推測します。時間をとって落ち着きます。

4.その場にとどまり、接触もほかの手がかりも与えず、身体の応答を待ちます。慣れたクライアントは、解放、長さの増大、呼吸の安楽などを報告できます。語らなくても通常は、呼吸の変化、微細な動きの伝達、組織の内在的な動きの応答、関節の再配置などの現象を観察できます。

図4:左の2枚は、接触せず間のみを用いた効果。腹部が開き、左右のバランスが増した。3枚目の4日後にも効果は持続。最後は、間を取り入れたロルフムーブメント・インテグレーションをさらに5回受けた後。
図4:左の2枚は、接触せず間のみを用いた効果。腹部が開き、左右のバランスが増した。3枚目の4日後にも効果は持続。最後は、間を取り入れたロルフムーブメント・インテグレーションをさらに5回受けた後。

5.よい間の配置から起こったプロセスが終わったら、先ほど試した位置へ移り、その都度報告を求めます。同じ相対的位置の間を以前と違って感じ、多くの場合、より許容できるようになっているでしょう。

6.位置Aへ戻って再び落ち着き、プロセスが完結したと感じられるまで時間をとります。

イールディングとともに間を探究する

最初のイールディング論文(Agneessens and Tahata 2012)に指針を示しました。基本のタッチはそちらを参照し、アプローチを理解してください。ここから間という概念の追加を論じます。

初期のイールディングでは全身に働きかけ、「コンディショニング」と呼ぶ落ち着きを目指しました。「ためらい」を感じる時など、施術者自身の感覚には特に注意していませんでした。むしろ、次の部位に働くまで待つ時機や、身体周囲の空間が、さまざまなベクトルとの親和性を通して近づく許可を与えると感じるまで、その場にいることに同調していました。

間を用いる施術者の実践原則は、肚で感じる身体的共鳴に従い、室内の特定の位置へ自分を置くことです。このキネスフィアの感覚は視覚的定位に依存せず、目を閉じても違いを知覚できます。間の感覚は導きとなり、介入の順序を理解する助けになります。適切な間を保つとは、心地よい感覚を保つことです。とどまる、触れることにためらいがあれば、そこにいるべきでない、触れるべきでない合図かもしれません。その導きの感覚にイールドすると、介入順序が決まります。また、よい間は互いに一致する心地よさによって常に決まるため、変化を強制することもありません。

各施術者とクライアントの組には固有のよい間の位置があると、ワークショップでわかりました。私たちは皆、知覚とキネスフィアが異なる固有のプレゼンスなので、双方の位置関係がその瞬間に固有に生まれ、ゆらぐのは自然です。

応答性のよいクライアントには、間へこれほど明確に注意しなくてもかまいません。すでに「流れに乗っている」

「ゾーンに入っている」といえるでしょう。しかし、特定の人とのワークで難しさを感じ始めたら、間を導入・回復することが道を開くかもしれません。時間の要素も同様です。主な制限と認めた領域へ近づきにくいとき、状況の間が、その部位には変わる準備がないと伝えているかもしれません。内受容感覚では、近づくのをためらう感覚として現れることがあります。

これも、施術者、クライアント、場のあいだの生きた弁証法です。別の施術者は違う出発点を見つけ、アプローチも違うでしょう。すべて介入の順序と各施術者の独自性に密接に関わります。知覚システムや、場でのクライアントとの関係の実感が異なる人と、同じやり方をする必要はありません。

ケーススタディ

間の導入を示すため、ケースを見ましょう。2017年のRolf Institute®講師会議で、同僚のリサ・フェアマンにデモンストレーションを行いました(図5)。特定の結果は期待していませんでした。間の探究から、それが施術関係や定型に従わないアプローチと関わる、ワークに内在する現象かもしれないと思い、同僚講師に共有したくなったのです。間のワークは非線形のモデルで、プロセスは身体の必要に従って起こります。間が必要なければ何も起こりません。私の姿勢は、ただ全過程にイールドすることでした。よい間の位置に身体を置き、戦略も分析も期待もなく待ちました。

リサの言葉の前に、当時は私も知らず、後の連絡で初めて知った背景を述べます。よい間の場で働く有機的な知性を見分けられるよう、先にお伝えします。

リサは約11年前、脊髄損傷を負いました。すべての腰椎椎間板にヘルニアが生じ、L5-S1椎間板が砕けて上方へ移動し、脊髄を圧迫しました。歩行・座位・立位を5分以上続けられず、1か月後の手術で圧迫する椎間板物質を取り除くまで、右脚を使えませんでした。手術ではL3・L4椎体の右側の骨を約4分の3インチ切除し、対応する右側の椎間関節と、椎間板の一部も取り除きました。術後、脊髄に沿った神経の流れが戻り、脚が部分的に使えるようになって歩行を学び直しました。しかし新たな不安定性と、以前より平坦な脊柱弯曲が生じました。その後3年で感覚と筋力を取り戻す一方、右脚を3回、それぞれ別の部位で骨折しました。

ここからリサの視点での経過です。多くの感覚が受傷歴や後遺症に関連するように見えるでしょう。また、訳しきれないほど多面的な言葉「間」の、別の次元への深い理解が、体験を通して開かれたこともわかります。

デモンストレーションのクライアントに手を挙げたことを、ありがたく思います。私は内面をあまり公にしない人間なので、集団の前で自分をこのように共有するのは勇気の要る行為でした。ヒロのワークを理解・体験したい好奇心が強く、実感を通した探究を望みました。このセッションは、私にとって特に深いロルフィング®SI体験の一つとなりました。

最初に皆の前に立ち、右股関節の奥に長年続く顕著な不快感があり、左側と左脚を通してより多くの重さを感じると伝えました。歩くと、右に比べ左腸骨に安楽と流動性があり、前後の動きも大きく感じました。右側には動きの引っかかりがあり、腰も痛んでいました。

テーブルで仰向けになり、目を柔らかく閉じると、次第に穏やかで、ずっと気づきの豊かな状態になりました。身体の物理性、存在の広がり、新しい種類の対話を含む豊かな気づきです。細胞の内へと感じ入るときの穏やかな好奇心を覚えています。細胞間の空間と質感に気づきました。腹膜の袋の左側で、内部の臓器や、腹膜の内外の内臓のつながりに、不快感がある時間がありました。しばらくして、次に覚えているのは、右側のL3〜L5周辺と、対応する脊髄・硬膜管への、とても強いつながりと注意です。非常に特定的で精緻な触診が、鋭く注意を招くようでした。その精緻な「触診」、つながり、注意には、実際に触れられたときにも経験した覚えがないほどの、正確さ、明晰さ、洗練がありました。焦点が定まり、整理されていく感覚が、安楽と安堵をもたらしたのを覚えています。仰向けのこの全時間を通して、実際に手で軽く短く触れたのは、脚に1回だったと思います。

図5:間のワークの構造への効果。施術後は身体がより上方へ伸び、表情には本人の語る「喜び」が表れている。右はセッション中の写真。
図5:間のワークの構造への効果。施術後は身体がより上方へ伸び、表情には本人の語る「喜び」が表れている。右はセッション中の写真。

2回目の接触を覚えているのは終盤で、膝を曲げ、足をテーブルに置くよう言われたときです。ヒロは足の位置を調整し、足裏に触れました。すると驚くような流れを感じました。内臓の左側から斜めに横切り、L3周辺の流れにつながって脊柱を下り、骨盤を通って右脚へ入り、脚全体を下って貫く流れです。腰椎弯曲が変化して増し、より自然な形へ戻るとともに、美しい安堵、迎え入れる感覚、安楽が生まれました。自然な流路を流れる小川のようなしなやかさと、とても全体的で統合された感覚がありました。

立つと、何に気づくかと聞かれました。安楽、右腸骨の前後運動、腰椎の弯曲が増し、大地とのつながりが明瞭で、さらに開いた感覚があると伝えました。何より大きかったのは、際立つ喜びです。その表現として踊りたいと言ったことを、はっきり覚えています。今すぐ、踊りたい!深く、非常に大きく、穏やかな喜びでした。自分の内にも周囲にもある喜びで、身体的、精神的、情緒的なつながりと、属している感覚でした。

数か月後も、このワークと遊び、身体化し、発展させ続けています。「仰向けで膝を曲げ、ヒロが足に触れる……つながりの流れと腰椎弯曲の変化」を再訪します。それがもたらした、今ももたらす生命力を、ますます感じています。腰椎弯曲を迎え直し、喜び、手放すこと、許すことを思い出します。この数か月で、システム全体の絶え間ない雑音が減っていると気づきます。より穏やかで、人から見られたり、人前に立ったりするのも楽です。実践にも生活全般にも、間を取り入れています。

また、セッション中と後の感覚、すなわち身体的・精神的・情緒的なつながりと所属感、深い喜びと平穏は、何年も前に溺れて臨死体験をしたときの感覚によく似ていたことも伝えたいです。いくらもがいても水中に自分を留めるロープから逃れられないと悟ると、とても明晰になりました。手放し、自由で流動的に感じました。内にも周囲にもつながりがあり、深い喜びに包まれ、美しい体験でした。間を用いたロルフィングとどう関係するかはわかりません。方法は違っても、深い喜びと安楽を根本から体験する点で共通するのかもしれません。あるいは、ようやく理解し始めているように、共通するのは間、すなわち休止、空間、関係なのかもしれません。

リサとのセッションは、間には私の予想以上に変容を促す可能性があることを示しました。事前に病歴を知らなかったのに、問題のL3〜L5周辺が「触診」されました。その深い体験は多くを語る一方、なお神秘を残します。

間とともにイールドし、集中的なワークをタイトレーションする

よい間を用いれば、速すぎる・多すぎる危険なく、集中的なシリーズを設計できるはずです。外から変化を強制せず、まとまりのある「自律的なオーケストレーション」を促せるからです。ある意味でタイトレーションが組み込まれています。

私はすでに、4日間連日で第4・5・6・7回を受ける、あるいは10日間で8回受ける、イールディングのワークショップを何度か行いました。参加者全員に、過負荷にならず介入を受ける適応性がありました。対照的に、開業初期に筋膜リリースをシリーズで用いた際には、前日にもセッションを受けた人の組織が、介入に抵抗するように感じました。これにより、標準的なロルフィングの日程が、2週に1回から週2回までとされる理由がわかります。消化できる入力には限りがあり、身体とそのプロセスへ統合する時間が必要なのです。一方、長い間隔が余分なストレスになる人もいます。集中的なシリーズに十分適応できれば、けがをしたアスリートなどで、苦痛やリハビリの期間を短くできる可能性があります。そのような人には、間とイールディングを基盤とする集中的な日程も選択肢でしょう。

図6のクライアントは、妊娠を目指す準備として、できるだけ早く状態を改善したいと来院しました。本人の出生は難産で、交通事故のむち打ち歴もあり、20年間、首、上背部、腰の慢性痛がありました。そこで、第1回後に5日休み、第2〜5回を4日間で行い、2日休み、第6〜10回を4日間で行う集中的な日程を採用しました。こうして約2週間で10回を終えました。すべてイールディングのタッチと間で行い、筋膜リリースはしませんでした。

図6:イールディングと間だけに基づく、16日間の集中的な10シリーズの持続的効果。
図6:イールディングと間だけに基づく、16日間の集中的な10シリーズの持続的効果。

10シリーズ後、頸椎の減圧が見られます。痛みの大半、特に首の痛みがなくなり、日程が強すぎる・多すぎるとは感じなかったと報告しました。終了1週間後には頭蓋がさらに正中線へ整っており、変化の持続性が示唆されます。再来の理由は、日々の瞑想中、肩に自発的な動きが生じることでした。身体の応答性が高まったと考えられます。私は不快な感覚ではなく肚へ意識を向け、資源を見つけるよう勧めました。それにより、肩や首に残る不快感を気にしなくなり、肩の自発運動も止まりました。

このケースは、間の文脈でイールドを用いればシリーズを短期間で行えるという考えを裏づけるようです。連日行うこともあるソマティック・エクスペリエンシング実践者と同様、介入に十分なタイトレーションが組み込まれていれば、安全なマトリックスで集中的なシリーズを行えそうです。適切な場合には、早く競技復帰したい負傷アスリートや、遠方から来るクライアントに特に有益でしょう。

集中的なシリーズで注意するのは、収束と拡張の知覚のバランスが必要かどうかです。間のワークは身体周辺の空間への気づきを高め(拡張を好む傾向)、広がりある知覚のパリントニックな調和を保つため、内に収まる感覚がさらに必要になります。施術者には、内受容感覚と外受容感覚の双方を含む動的知覚、いわば知覚的パリントニシティを用いることが重要です。周囲から肚の収束点へ、肚から三次元の空間へと定位することで、内に収まること(収束)と広がること(発散)の双方が高まります。

間+イールドのプロセスの仮説

これらのケースは、よい間が安全な状態をつくり、身体の応答性を高めて構造変化を促すことを示唆します。イールドの要素に間を加えた過程の機序についての仮説を図7に示します。下向きの矢印は段階的に連なる基本の流れを、上へ戻る矢印は各段階での増強を示します。動きは一方向でなく、常に相互に関連します。足場、内在運動性などイールドの要素は、最初の論文(Agneessens and Tahata 2012)を参照してください。

このワークの要点

46頁の指針に戻ると、最重要なのは第3段階、自分の感覚と、実感やキネスフィアに敏感なクライアントの報告に基づき、落ち着くために最も心地よい一か所を選ぶことです。ロルファーの多くは強い応答を見つけるとすぐ働き始めるため、初めは慣れないかもしれません。しかし、つかみにくく思えても、まずこの段階から始め、よい間に落ち着く時間を取るよう勧めます。双方が落ち着くコンディショニングの状態は、組み合わさるジグソーパズルの大切な一片です。

その瞬間、その人に近すぎず遠すぎない、まさに適切な場所を見つけると、双方がイールドし、興奮に駆られも、退屈に沈みもせず落ち着けるはずです。京都・龍安寺の有名な石庭のように、それぞれの石が置かれた空間にぴたりと収まる間です。これは、家の内外の要素の配置がエネルギーの流れを決める風水と、よい間が似ていることを思い出させます。

もう一つは、施術者ができるだけくつろぐことです。くつろげなければ、落ち着くのに適切な位置ではありません。各位置には適切な時間間隔があり、時間も空間と同じく間の要素です。練習では最良の位置にとどまった後、ほかの位置のトーンが変わったかを確かめました。初めには最良でなかった場所は、「ためらい」のある場所と考えましょう。そこへ進む時機、次の介入を受け入れられる時機になると、間が変わり、ためらいがなくなります。つまり次の介入を許容する場になるまで待ってから、そこへ移るのです。

図7:よい間とイールディングにより、応答が連鎖的に生じるという仮説。よい間は、変容に向けた安全な状態をつくる。
図7:よい間とイールディングにより、応答が連鎖的に生じるという仮説。よい間は、変容に向けた安全な状態をつくる。

間の感覚に慣れるまでは、相手も内的な落ち着きを感じるか、尋ねることを勧めます。最初の位置取りはセッションの文脈と流れを決めるかもしれません。相手の報告のほか、自分がそちらへ向く、動くことをためらう場所にも気づくでしょう。その場所を相手がどう違って感じるか尋ねると、手がかりが得られます。双方がよい間を感じる、一致した場所を探してください。

結論

専門家ではない人へのワークショップでわかったのは、多くの人に間を知覚し、最適な所を見分ける生得的な能力があることです。また経験上、受け手の大半がこのワークに応答します。よい間の条件で起こることは、多くの状況で再現できると示唆されます。間を感じる能力は、捕食者の位置を見分けるような原初的な生物感覚に由来し、生存と直接つながるのかもしれません。どこに根を下ろすかは、生死を分けたり、少なくとも生活の質に大きく影響したりします。

間はすでに、さまざまな形で生活にあります。暗黙でも明示的でも、探してみてください。日本文化なら武術や生け花に見られます。空間で動く感覚、美意識、ほかの多くの領域が、知覚、キネスフィア、他者・環境との相互作用に影響され、方向づけられています。

ボディワークに間を応用するとき、肚の身体的共鳴による知覚を手がかりに、コンディショニングを整える室内の位置と、介入の順序・場所・時機を探します。各施術者が自分のよい間の感覚を見いだし、異なるクライアントに柔軟に応じる間をつくれると信じます。自分の内受容感覚(主観性)と間主観的な場の双方を探るなら、間は実践の大きな助けとなるでしょう。間のワークは、互いの共存を求め、時空に調和を見いだす技法です。

謝辞:多くの方が間のワークの発展への着想を与えてくださいました。空間知覚は、ロルフムーブメント講師キャロル・アグネセンスとの学びで育まれました。彼女の協力で教えた2016年のクラスで、Kosei Hayashiをモデルに行った実演が、間のさらなる探究を促しました。日本のボディワーク「身がまま整体」の創始者、片山洋次郎は、共同ワークショップで動的な空間知覚を探る手がかりをくれました。キャシー・マコーネルはスヴェルドルップの間の論文を紹介し、自身の「直観と意図」の論文で本稿の執筆を促してくれました。2017年のセッション体験を共有したロルフィング講師リサ・フェアマンには、特に感謝します。

コラム / 講師に聞く:足について

イールディングから見た足

田畑浩良の回答

田畑浩良
ロルフムーブメント・インストラクター

回答:ケーススタディを通して、イールディング(注1)の観点から足を捉えてみたいと思います。釘を踏むなどのけがや大地震の体験によって、足から得る大地の感覚への信頼を失うことがあります。その場合、瘢痕が完全に治り、揺れがもうなくても、足は地面や下方向を安全でないと感じ続け、身体が足を通して大地へイールドするのを許さないかもしれません。構造上の問題がなくても、ロルフィングの介入原則の一つである支持の能力が低下する可能性があります。

これは、大地に対する足の「知覚」の問題の典型例です。5回のロルフムーブメントを受けていた男性が、第4回の後、左足で釘を踏み、しばらく左足をかばっていました。やがて歩行時に右ハムストリングスの緊張を感じ、6か月後にフォローアップに来ました。釘の出来事を思い出し、左足を通して大地へイールドする能力を高める必要があると感じました。

さらに、関係するかもしれない別の要因として、幼少時に喘息で入退院を繰り返したと話しました。この人がそうだったかは不明ですが、乳幼児の医療では、足裏の踵骨動脈網(CAN)・足底静脈網(PVN)周辺から採血することがあり、その領域(図1)が穿刺されていた可能性があります。私の友人の息子も、心臓病で集中治療室にいたときに経験しました。こうした発達初期の足への医療介入は、局所だけでなく全身に影響するかもしれないと推測します。

右ハムストリングスを直接リリースすることもできましたが、効果は一時的だろうと判断しました。釘による負傷が原因となる制限に思えたため、左足により多くの支持が必要と評価し、「間」も取り入れたイールディングを選びました。その方法は後述します。釘で刺した部位と、幼少時の穿刺の可能性を考えた踵骨周辺を含む左足に焦点を当て、最後に統合のため右足へ短く働きかけました。足が「足場」へイールドする能力を高め、大地を安全なマトリックスと認識すると、身体のシステムが落ち着けるという仮説です。単純に聞こえても結果は深いことがあります。図2のように、足を通したイールドは左右のバランスを増し、身体を正中線の周囲に組織化しました。本人は安全を感じ、右ハムストリングスの緊張もないと報告しました。

図1:乳幼児の採血で穿刺される足底の部位(左図の陰影部)と、関連する血管分布(右図)。
図1:乳幼児の採血で穿刺される足底の部位(左図の陰影部)と、関連する血管分布(右図)。
図2:主に左足へイールディングを行い、統合のため右足にも働きかけた1回のセッション後。足へのワークは構造全体に作用しうる。
図2:主に左足へイールディングを行い、統合のため右足にも働きかけた1回のセッション後。足へのワークは構造全体に作用しうる。

ここで用いたイールディングの介入を説明します。日本の「間」という概念に基づく洗練を取り入れています。間は空間と時間、特に空白の空間と間隔に関わります。「よい間」は、ある意味で「よい風水」と比べられるでしょう。概念とロルフィングSIへの応用は44頁の「間を用いたワーク」で詳しく述べています。イールディングの「コンディショニング(場を整えること)」「足場」「心地よさ」「よい間」についても、そこで詳しく論じます。

このクライアントには特定の足のけががありましたが、この方法で足裏にイールディングを用いることは、一般的にも支持を高めるのに有効だと思います。人によっては、上半身の代償的な保持を手放せるかもしれません。ご自身のクライアントに応用できるよう、一般的な形で説明します。クライアントはテーブルに仰向けです。

・コンディショニング(イールディングによる落ち着きの過程)の後、身体が「心地よさ」(よい間)で招いてくれるのを待ちます。

・膝を立ててもらい、Dycem®(注2)など滑り止めのシートを足の下に置きます。

・足の下に「足場」となる接触を提供します。

―足が手へイールドし始めます。

―股関節の減圧が見られることがあります。

・足裏全体を通して大地へイールドする、全体的な質を感じ取ります。

・大地の感覚を得るのに最適な足の位置を、クライアント自身に見つけてもらいます。イールディングでは関節の減圧とコアの拡張が起こりやすいため、大地との新たな、より安定した関係を見いだせます。仰向けで膝を立てた状態では、通常、Dycem上の足幅が広がり、両足の位置がより揃います。単純な介入ですが、ときに劇的な効果があります。

初出:Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute®, March 2018(日本語訳)。文中の「46頁」などの頁数は掲載誌のものです。写真の方々の顔はぼかし処理済みです。

Structure, Function, Integration Journal of the Dr. Ida Rolf Institute® / 2024年6月号(第52巻 第1号)

空間、大地、重力:第2部

空間、大地、重力

施術者の身体を適切なトーンと間への感受性に調律する

田畑浩良
認定アドバンスト・ロルファー®/ロルフムーブメント®インストラクター

要旨

ロルフムーブメント・インストラクターの田畑浩良は、人と人とのあいだの空間と時間である「間」を用いて、空間への気づきと同調をセッションに取り入れる方法をロルファーに提示する。内的感覚をトラッキングすることで、施術者のプレゼンスをクライアントの変化を促す手段へと変える方法を述べる。徒手的介入だけですべてのこわばりを取り除こうとするよりも、適切なトーンに向かって働きかけ、間を通して広がりと心地よさを体験できるようにすることを重視する。梶川泰司が設計した共鳴テンセグリティ・モデルと、適切な身体のトーンによって可能になる精妙なバランスを紹介し、3つのケースで実践を示す。また、間を用いたロルフィングの遠隔セッションの可能性を論じる。クライアントの尿中ストレス指標のトラッキングから、間の活用と生理的な酸化ストレスの低減との相関を示す証拠が得られたことを報告する。

はじめに

アイダ・ロルフ博士(1896〜1979)は、重力について多くを語りました。重力は身体と地球を結ぶ普遍的な関係であり、私たちの身体に作用する最も重要な要因かもしれません。以前の論文(Tahata 2018)では、物理的空間との関係で身体に作用するもう一つの要因として「間(ま)」を紹介しました。そこで私は「間は空間と時間の双方に関わる日本の伝統的な概念である」と記し(44頁)、アーティストのニニア・スヴェルドルップによる説明を紹介しました。「間、すなわち空白の空間、あいだ、静寂、休止、空、間隔、距離、タイミングなどは、日本社会全体に遍在しているものです。ただし、間という概念に言及するのは主に伝統芸術においてです」(Sverdrup 2006、オンライン)。

間という概念は、「ジオパシック・ストレス」と呼ばれる考え方にも関連づけられるかもしれません。これは、特定の場所が有益または有害な影響を及ぼすという考えです。古来の風水はこの発想を基礎とし、建造環境の配置や構成を通じて、その影響と調和して暮らす方法を定めます。2018年の論文では、ロルフィング®・ストラクチュラル・インテグレーション(SI)のセッションで間を探究した結果、空間と時間の配置がロルファーのワークにも同様に重要であることを紹介しました。具体的には、セッションの各瞬間に施術者が室内のどこに立つかによって、エネルギーの流れが生まれたり妨げられたりし、クライアントの気分や健康に大きな影響を与えることがあります。これを理解すれば、施術者とクライアントの関係的位置づけにおける空間的・時間的要素に注意を払い、間を改善することで、変容のために場を整えられます。

この観点から、触れて介入する前に、その瞬間にふさわしい位置を見つけることが不可欠です。それがセッションの文脈を決めるからです。単純な例として、全体的にも、また働きかける部位との関係でも、施術者が心地よさを損なうほど近くに立てば、たとえ介入が必要な場所にいても、クライアントの身体は緊張して防御的になり、警戒が高まり、介入を受けつけなくなるでしょう。ロルフィングのコミュニティでは、触れる場所や深さのタイミングについて、すでに同様の理解があります。ここで提案したいのは、気づくべき対象はクライアントの身体だけではないということです。キネスフィア¹のように、身体近傍空間、大地、重力を、間という概念を通して論じることができます。

施術者を楽器として調律する

肚を通した内受容感覚

間に敏感なのはクライアントだけではありません。ロルファーも内受容感覚を通して、間、すなわち空間と時間における適切な関係的位置を感知する力を育めます。私は、肚と周囲の空間を同時に感じることから、間への感受性が生まれると考えています。肚とは、多くの伝統で認められている腹部の微細な中心を指す日本語です。中国の体系でいう丹田²とおおよそ同じものと考えることができ、グルジェフのワークなど西洋の一部の体系で認められる腹部の中心にも相当します。身体的には肚は重心(G)にありますが、単なる物理的位置以上のものです。身体上の目安は、臍から指2〜3本分下がり、そこから身体の内側の芯へ入った所です。(まずこの位置について述べ、後ほど、さらなる学びと経験によって理解がどう変わってきたかを論じます。)肚とつながり、それを育むことで、武術の達人は向かってくる相手のエネルギーと動きを感じとり、それらのエネルギーとともに動いて、相手を部屋の向こうまで難なく投げることができます。

施術者の肚を室内の間と調和させるこの知覚状態は、経験的に、私たちのワークに望ましいものです。ただし、相手に対抗するのではなく、クライアントのシステムと、より大きな場に同調し、変容のための最良の条件を整えます。ロルフムーブメントのメンターであるキャロル・アグネセンスと「イールディング」(Agneessens and Tahata 2012)に取り組むなかで、私たちは、クライアントの身体のイールドを促す安全なマトリックスをセッションに成立させることが、治療的変容のきっかけになると見いだしました。間を感じ、それに基づいて位置をとる能力を育むことが、安全なマトリックスの成立を支えます。

場を含める

間を用いるには、施術者は肚に意識を保ち、微細な内受容感覚を感じられる必要があります。そこから周囲の空間へ感覚を広げ、抵抗を感じずに心地よく立てる場所を探ります。また、セッション中、何かをしようとしたときに抵抗感が生じることにも気づきます。これも内受容感覚と、身体的共鳴によって自分の身体に生じる緊張の変化を通してトラッキングします。こうしてセッションを通じて抵抗を和らげ、内受容感覚の手がかりを使い、いつ始めるか、どこに働きかけるか、プロセスが生じたときにいつ離れるか、再開までどれほど観察するかを明確にします。ここでいう「プロセス」とは、解放、内在的な動きの応答、自発的な動き、部位や部分が再びつながる感覚、特定の組織・器官のプレゼンスの増大などです。その一部は、トラウマとなる出来事の途中で中断された反応を身体が完結させられるようになるという、ソマティック・エクスペリエンシング®の「反応の完結(ジェスチャーの完結)」に関連するかもしれません。

このアプローチには、クライアントのプロセスに対する特定の姿勢も必要です。反応に注意を払い、その反応を増幅させないように働きかけます。主にソマティック・エクスペリエンシングの創始者ピーター・レヴィーン博士のワークを通して、ロルフィングのコミュニティは、劇的なプロセス(カタルシス的な感情解放など)が、自己調整という目標に対してしばしば逆効果になると学びました。同様に、イールディングを通じて、施術者に最もふさわしい姿勢は、クライアントのプロセスが自然に起こる「スイートスポット」を見つけることだとわかりました。自分のプレゼンスや意図によって刺激したり、加速させたり、方向づけたり、抑え込もうとしたりはしません。必要なプロセスが自然に生じる、平らで中立的な静寂の状態です。ロルフィングおよびロルフムーブメント・インストラクターのニコラ・カロフィリオは、これを「重力の音を聴くこと」と表現しました(私信)。デザインサイエンティストの梶川泰司は、この状態を「風の吹かない場所」と表現しました(私信)。

セッションの流れ

肚の内受容感覚を通して間を用いることで、セッション全体が途切れなく導かれ、クライアントの身体に必要な変化を引き出す条件が整います。その流れを考えてみましょう。まず介入前のボディリーディングで制限のある部位を見つけ、それがクライアントの受傷歴とも一致しているとします。クライアントは、10シリーズの各セッションに応じた姿勢、あるいは身体がイールドして安全なマトリックスに休める最適な姿勢でテーブルに横たわり、主観的にも心地よいと報告します。そこで施術者は、室内で自分の出発点となる位置を見つけます。この立つ場所は、肚の内受容感覚によって決まり、自分自身も間主観的な場も落ち着く所として感じられます。それぞれが「適切な」間の位置にいるだけで、時間とともにさらに落ち着き、ゆったりした呼吸のリズムと安心感が生まれます。すると抵抗を感じずにクライアントへ近づけます。これは場が「整った」ことを示します。

ここで、これまでの訓練、ボディリーディング、必要な介入についての感覚から、制限を見つけた部位へ働きかけ始めたいという衝動、ほとんど義務感のようなものが生じるかもしれません。しかし、そこへ近づこうとすると、身体全体の緊張が高まるとします。制限部位に近づくだけでも難しくなります。これは、肚の内受容感覚と場の感知が、そこに触れるのは待つよう伝えているのです。そこで最初の場所のほうへ少し戻り、何らかの合図を待ちます。身体がクライアントへ引き寄せられ、触れることへの抵抗がなくなるかもしれません。キネスフィアの膜の境界が薄く感じられたり、クライアントのキネスフィア空間の密度が減ったりすることもあります。そこが接触できる可能性のある領域です。手を近づけ、触れる直前に何らかの不快感(自分の身体の抵抗)を感じたら、その位置で手を止め、触れずに必要なだけ待ちます。この非接触のコンタクトだけで、内在的な動きの応答を引き出す十分な刺激になることがあります。自分の身体が落ち着かなくなる、強い感覚が生じる、あるいはただ退屈になることで、次へ進む時機がわかります。これは最初の立ち位置へ戻る合図です。同じ過程を通して次の介入に引き寄せられるまで、そこで待ちます。

このように、室内で最初に立つ「よい間」の場所は、一種のベースキャンプになります。梶川の比喩を借りれば、「風の吹かない」穏やかで静かな場所です。クライアントとの相互作用で生じたどのような緊張のトーンからも身体がリセットされるあいだ、ここで休めます。ここでは場の間から養いを受けます。ある意味、次に何が起こるかを探る際に、身体の微細な緊張の変化へ再び同調する前に、肚の内受容感覚の調律を中立の状態へ較正し直しているといえます。

簡単にいえば、間主観的な場は動的で、セッション中にクライアントとの位置関係が変わるたび、肚や身体全体の緊張の変化として感じられます。その緊張を感じることで、介入が適切かどうかがわかります。音楽を聴くと身体は音波と共鳴し、心地よい音楽やグルーヴがあれば気分が高まります。同様に、自分とクライアントの身体は、適切に調律された楽器や音叉のように共鳴します。肚にしっかりと中心が定まり、呼吸がくつろいだ振動を伝えるとき、それは落ち着き、心地よさ、くつろぎ、安定という身体言語になり、クライアントの身体もそれに共鳴できます。逆もまた同じです。身体の緊張は室内の他者に伝わり、場のトーンを変えます。

疑問に感じるなら、同僚とこの練習を試してください。一人がクライアントとしてテーブルに横たわり、施術者役の相手が室内で位置を変えるときの実感に注意を向けます。目を閉じていても、施術者が特定の場所にいると身体の特定部位の緊張が変わり、別の場所ではくつろぎへ移行して、間主観的な場の心地よさを感じられると私は考えています。

繊細な同調

施術者とクライアントのあいだで心地よい位置を見つけることは比較的容易かもしれませんが、その質には段階があります。適切な間(空間と時間)の関係を探すとき、私たちは人と人としてではなく、プレゼンスとプレゼンスとして関わります。私はプレゼンスを、ロルフィングSIでいうコアと結びつけて考えています。コアに落ち着くと、禅の石庭で石が完璧に配置されたときのような充足感があります。しっくりくる感覚、空間に収まる感覚です。

これが理想ですが、とらえにくかったり、一瞬しか続かなかったりすることもあります。内受容感覚は、肚に深く満足して落ち着く感覚ではなく、一時的な安堵かもしれません。言い換えれば、発達した肚がまだ身体化されていなくても、腹部の内に収まる感覚に落ち着けるようになれば、クライアントとの間に導かれることが容易になります。(後ほど、テンセグリティの研究と身体化の実践から、従来の肚よりやや低い位置が、深い落ち着きと内受容感覚のもう一つの場所として示唆されることを論じます。)先に述べたとおり、肚は育む必要のある微細な中心であり、武術家はこれに何年も費やします。施術者が肚に深く落ち着けない程度に応じて、精密なタイトレーション、すなわち少量ずつの調整を要するクライアントへのワークは難しくなります。その場合、クライアントが「クックされる」とロルフィングの世界で呼ぶ、代償が破綻して方向感覚を失う状態を招きやすくなります。したがって施術者が肚の内受容感覚に根ざすほど、介入はより同調した、安全で有益なものになります。

適切な張力

結合組織や細胞骨格は、生物に共通する、身体構造を維持する張力素材です。また振動する素材でもあり、音叉のように空間に共鳴する基盤となります。たとえば、不気味な場所に入った瞬間にぞっとする皮膚感覚は、全身の張力変化を通して異常を感知する仕方かもしれません。多くのマッサージ師や徒手療法家は、身体のこわばりをすべて柔らかくすることを使命としていますが、組織を健康なトーン以下に緩めない注意が必要です。たとえば胸腔内の懸垂靱帯は、適度な張力の網を形成し、心肺と肋骨内面のあいだに空間をつくります。腹腔では、腹壁を形成する腹横筋などの筋肉が、適切な張力によって内臓の空間を保ちます。適切なトーンは、生命に関わるという最も根源的な意味で不可欠です。がん細胞の特徴の一つは、張力が異常に低いことです。

適切なトーンの基準には何を使えるでしょうか。身体に関わる実践者にとって最良の基準は、自分の内にこの健康な張力を体現することです。解剖体の研究は臓器間の関係の理解には役立ちますが、張力の理解には向きません。なぜなら、解剖標本の細胞や組織は通常、ホルマリンなどの溶液で「固定」されているからです。固定剤を使わず凍結・解凍した場合も、凍結中にできた氷晶が細胞膜を傷つけ、細胞成分が漏出するため、生きた細胞の状態とは異なります。

細胞の張力の基準により近いのは、動物が死んだ直後の組織に触れることです。しかし、そこでも別の側面が抜けています。筋膜はあらゆる組織にくまなく入り込んでいるので、触れて感じるのは主に細胞外マトリックスの張力であり、細胞の張力を直接感じているわけではありません。日本のバイオテクノロジー企業で働いていたとき、私はコラゲナーゼとケラチナーゼで処理して細胞外マトリックスを除いた細胞に、数十グラム単位で触れる機会がありました。手袋越しでしたが、細胞張力の直接的な感覚が今も手に刻まれています。クレームブリュレのように柔らかく、それでいて弾力があると表現できるでしょう。

共鳴テンセグリティ®・モデル

2022年に共鳴テンセグリティ®・モデル(RTM)³に出会い、構造の強さと柔軟性を見事に両立していることに驚きました。RTMは、バックミンスター・フラーが共同研究者と認めた梶川泰司の設計です。精緻な構造計算に基づき、軽量で伸びの少ない炭素繊維を張力材として組み立てられています。モデルを床面に落とす高速度映像は、衝撃を瞬時に吸収し、分散する能力を示しました。張力材にゴムを使うと、弾性が高く強度が低いため、荷重下で簡単につぶれます。またゴムを張力材にしたモデルでは、生きた細胞の強さを説明できません。足裏の細胞が体重の荷重下でつぶれないのは、細胞骨格の強さによります。細胞は軽く柔軟でありながら一定の剛性を備え、同じ性質をもつRTMと似た働きをします。図1のように、RTMは大きな荷重が加わっても構造を維持します。

図1
図1:(A)2つのテンセグリティ・モデル。(B)梶川泰司によると、左は荷重で変形する「偽の」テンセグリティ。(C)一方、右は「真の」テンセグリティで、共鳴テンセグリティ®・モデルと呼ばれる。荷重下でも形を維持し、衝撃を容易に分散・吸収する。(D)シナジェティクス研究所の許可を得て画像を使用。Twitter:https://twitter.com/synergetics_jp。写真は許可を得て掲載。

共鳴するテンセグリティの身体への効果

RTMを手に持つと、圧縮材と張力材の精妙なバランスを感じ、先に述べた適切なトーンの感覚の理想的な基準になります。したがって、RTMはクライアントにも役立つ道具です。テーブルでのワーク後、立ったときに不安定なら、RTMを持つことで適切な張力を内受容的に感じる即時の基準が得られ、最適な張力へ安定します。(RTMはシナジェティクス研究所のワークショップへの参加を通して入手できます。連絡先:info@synergetics.jp。)また、セッションのプロセスが自然な終結へ向かわず続いていたとき、RTMを持ってもらうと再定位が起こり、反応のサイクルが完結したケースも記憶しています。セッション終盤に不快感を訴える部位にRTMを触れさせる試みも行いました。これによって不快感が軽減または消失するようです。

施術者が身体全体に適切なトーンを保てば、ある意味でRTMとして機能します。この状態では深く呼吸し、十分に息を吐けます。クライアントの身体はその状態に共鳴し、安全・安心の感覚と、呼吸の心地よさを得られます。これはコヒーレンス(一貫したまとまり)を誘う出発点です。

RTMと真骨盤のテンセグリティ

共鳴するテンセグリティを望ましいトーンの基準として、肚を中心に組織化された身体モデルを提案します。四肢はくつろぎ、肚にはグラウンディングが集まる感覚があり、無理なく立てます。肚の内受容感覚とその発達により、重心が落ち着いた「共鳴するテンセグリティ」の状態になります。

図2
図2:異なる解剖学的断面から見た真骨盤のテンセグリティ(TPT)。星印はTPTの中心を示す。
図3
図3:半球形のRTMは、下向きでも上向きでも荷重下で形を維持する。

RTMは球形ですが、骨盤内に球状の構造はありません。図2に、私が真骨盤のテンセグリティ(true pelvic tensegrity:TPT)と呼ぶものを示します。骨盤底を含む真骨盤の内壁を半球としてイメージします。共鳴するテンセグリティには、球形でも半球形でもよいようです。梶川の研究では、RTMを半球に変形しても、その半球が上向きでも下向きでも、力が加わった際の構造的安定性が保たれます(図3)。

新たな中心か、理解の更新か

骨盤モデルでは、TPTの中心は恥骨結合のやや上方にあり、臍から指2〜3本分下という丹田の位置より少し低くなります。身体のテンセグリティの観点から、ここは身体重心の「コア」かもしれません。

次に、内受容感覚で感じるTPTモデルを考えましょう。身体感覚として、TPTの中心は、感覚が過度に集中していない重心のように感じられます。身体表面と四肢にはある程度の張力が感じられます。施術者は立ったとき、こうした身体的手がかりが自発的に生じるのを待ちます。これが不可欠です。意図して作るのではありません。TPTに落ち着くと、中立で地に足がついた感覚が生じ、刺激のない静けさがあります。風の吹かない場所です(ハリケーンや台風の目を思い浮かべてください)。ここでは、どう働きかけるかではなく、どの間の位置から働きかけるかを定めます。

さらに、このTPTの中心点(図2)について論じます。丹田より低いこの重要な位置に関する同様の理解は、大伴由美子のワークにも見られます。著書『体心点呼吸法―湧式』(Otomo 2013)で、彼女は「体心点」、すなわち身体と心の点について述べています。恥骨結合のすぐ上の高さで、骨盤の奥にある点と説明し、これを活性化すると心身双方の整列を助けられるとしています。夫である医師の大伴正総は、バイ・ディジタルO-リングテスト(注4)を用いて、体心点の活性化が、記憶・認知機能・学習に関係するアセチルコリンの増加と、健全な細胞分裂を示すテロメアの増加に関連すると見いだしました。大伴は、体心点は現代医学にも伝統医学にも名称のない点であり、臓器でも経穴でも丹田でもないと述べています。ボディワークと呼吸による活性化の方法を提案し、その位置を明確にイメージすることの重要性を強調しています。

図4
図4:イールディングのセッションの場を整える施術者の姿勢について、変化してきた私の理解。室内で間に基づいてとる最初の位置(介入のあいだに戻る場所)と、センタリングの過程を示す。左は初期の経験。右は、従来の肚・丹田より低い中心としてTPTを理解するようになった現在の経験。
図5
図5:(A)ケースAのクライアント。イールディングを取り入れた第1回のロルフィングで胸郭前面に新たな空間が生まれた点に注目。1週間後には、さらにバランスが整った。(B)ケースAのクライアントの10シリーズの写真。許可を得て掲載。

探究を続ける現在、私は腹部の中心の内受容感覚と間を用いる際、この低い位置に意識を置いています。よい間の位置に立つと、意識は自然にTPTの中心点へ集まり、同時に気のエネルギーが外へ放射するような明瞭な身体感覚が生じます。これにより、イールディングのために場を整える際に施術者に何が起こるかについての経験と理解が変わりつつあります(図4)。左図は以前の経験で、腹部に集まってから周囲の空間へ広がっていました。今はTPTの中心(体心点に相当する位置)に意識を置くと、腹部に涼しい感覚があり、感覚はより低いこの点に集まり、身体の縁に一種の表面張力も感じられます。これが右図です。本論文で述べてきたように、この変化は時間をかけて起こり、テンセグリティの理解と身体化の進展を伴いました。(従来の肚・丹田とTPTの中心の両方を、ご自身の経験で確かめてみてください。)

現時点では、TPTの中心は丹田とは異なるものの、肚の領域の一部だと考えています。(TPTの位置は年齢にも関係するかもしれません。若いときは重心が高く、成長とともに下降します。身体の成熟と身体意識の発達がともに進むにつれ、TPTの中心から機能するようになるのでしょう。)施術者がどちらに同調するかによって、セッションのプロセスと文脈の進み方が変わります。私の感覚では、TPTの中心を用いるとクライアントのプロセスがより細やかにタイトレーションされ(後述のCeeのケース参照)、より効果的で安全なセッションになります。

これは施術者にも有益かもしれません。一部のヒーリング手法で、知覚を地平線の向こうへ広げるよう指導された受講生が、不安を感じることがあると聞いたからです。空間への気づきが広がりすぎるためかもしれません。イールディングでは、触れる前に施術者自身が安全・安心を感じることを優先します。空間への気づきを大きく広げて不安になるなら、その方法は有益ではありません。代わりに、図4の右側のように、全身の表面に軽い張力を感じることに意識を向けるよう勧めます。

ケーススタディ

ここまでで理解の土台が整い、TPTの中心の役割もある程度つかめたと思います。ここから私の実践におけるクライアントのケースを紹介します。すべて、これまで述べた内容を用いています。

脚を骨折した登山愛好家

このクライアントは下山中に左の腓骨と脛骨を骨折し、以来、慢性腰痛が続いていました。セッション中、私が間に基づいて位置をとると、接触しなくても自発的な動きが誘発され、自己調整が進むことがよくありました。第4回と第10回は大部分がそのようなセッションで、プロセスに接触は必要ないようでした。10シリーズは1か月で完了しました。

ロルフィングSIには徒手的介入が必要だと考え慣れているなら、間と場を含めたワークがいかに効果的か、驚くかもしれません。その効果はシリーズ前後の写真(図5A・5B)と本人の報告に表れています。「[セッションを受ける前は]痛みが出ると、何か治す方法を選ばなければと思っていました。でも今では、『身体に任せて様子を見てみよう』と思えるようになりました」。シリーズ終了5か月後には、こう語りました。「山に登るほど、脚に力がついてくるのを感じます。昨年、山小屋に着いたらもう動けなかったことが、今は遠い前世のように感じられます」。

番付のある相撲力士

このクライアントは5場所続けて負け越していた相撲力士で、10回のセッション後に成績の転機を迎えました。力士の身体には日々の稽古による衝撃が蓄積します。セッションが進むにつれて衝撃を吸収・分散する能力が高まり、睡眠と休息が改善しました。セッションには共鳴するテンセグリティを明確に取り入れ、私の手の代わりにRTMを用いたり、実物を持ってもらったりして、適切なトーンの目安としてその張力を感じてもらいました。こうしてRTMは、全身で衝撃を吸収・分散するイメージの基準となりました。先に述べたとおり、RTMには大きな荷重に耐える弾力的な状態があります。身体がその状態に共鳴することは、接触を伴うスポーツを行う人に明らかに有益です。ロルフィングSIの原則(Sultanand Hack 2021)に照らせば、共鳴するテンセグリティは、適応性の原則の究極の表現かもしれません。

あるロルファー

ロルフィングのトレーニングでは、働きかけすぎるとクライアントが「クックされる」と講師が警告します。これは、テーブルから降りるときに方向感覚を失い、不安定さや前庭系の混乱によってバランスが妨げられる傾向として現れます。このケースのロルファーを「Cee」と呼びます。彼女はヨーロッパでの基礎トレーニング中に何度もこれを経験し、安定を取り戻すために講師からさまざまな介入を受けました。(1)目と首の動きの協調、(2)施術者が骨盤を支え、骨盤を見いだし、そこから下肢がぶら下がる感覚を促す、(3)片脚立ちで支えをとりながら左右に揺れる、(4)這う動き(原初的な対側性運動)。これらは方向感覚の乱れの程度に応じて有効でした。しかし回復の手段があっても、安定を取り戻すのを待つ必要があり、セッションの時間は延びます。したがって施術者は一般にも、特に敏感なクライアントに対してはなおさら、介入のペース・量・質に注意を払うべきです。通常、強烈・強すぎる・速すぎる介入によってクライアントはクックされますが、そうなりやすい素因のある人もいるでしょう。

Ceeは、不安定になりやすいのは左目の手術に由来するかもしれないと考えました。また、内耳の問題を経験した人も、ロルフィングでクックされやすいと知りました。感覚の弱さを補償して精妙なバランスを保っている身体システムに介入する際は、平衡を乱さないよう、とりわけ慎重な働きかけが必要と思われます。

Ceeは私の「アート・オブ・イールディング」ワークショップで、他の参加者のワークを受け、少し方向感覚を失いました。これをきっかけに、敏感な人に対してクックされる体験を引き起こさず、安全に働く方法を探究し始めました。施術者の立ち位置と、介入に対するクライアントの身体反応の相互関係から、特定の質の静寂と落ち着きが生まれることに気づきました。施術者がよい間、すなわち中立で心地よい位置を選んでも、イールディングのセッションではクライアントのプロセスが予想以上に速く進む場合があります。おそらく身体のある部分は速く、別の部分はゆっくり変化し、全体として不均衡が生じるのではないかと推測します。その差が大きいほど、変化の統合に時間がかかるでしょう。これもまた、ワークを吸収でき、効果的なものにするために調整が必要であることを示します。ある閾値を超えると、身体が消化・再編成しにくくなるのかもしれません。クックされやすい人は、介入による変化がこの閾値を超えると、方向感覚を失いやすくなります。

クラスでCeeに対し、まったく触れない介入を実演しました。室内の最初の位置(ベース)から、自分のTPTのセンタリングと、身体表層の適切なトーンを保つことに注意を向けました。これは図4の右側に示したものです。図6にこのセッション前後の写真を示します。Ceeは、他のすべてのセッションで経験した方向感覚の乱れに比べ、はるかに大きな精神的安定と、自発的な定位を報告しました。皮膚の張りへの感覚的な気づきがあり、それが境界を明確にする助けになったと述べました。ここでも接触はなく、変化は共鳴を通して起こりました。

私の結論は、適切なトーンに支えられる皮膚の境界の知覚が、定位や固有受容感覚と密接に関連し、位置の感覚を与える可能性があるということです。共鳴する場でTPTと自身の皮膚の張りへの気づきを使う方法は、脆弱性のある人にもワークを吸収しやすくし、クックされたり方向感覚を失ったりしないようにする可能性があります。また、安全と安定の感覚を促す点でも価値が示唆されます。介入を受け入れるためには、クライアントの身体が周囲を安全と感じる必要があります。そうでなければ警戒し、闘争・逃走・凍りつきの防御態勢に備えます。安全を感じる状態はその対極にあり、自己調整と回復に役立つ開かれた状態をもたらします。そして、身体の境界で防御的な強いトーンが見られないとき、それがくつろいだトーンではなく、身体の崩れた状態である場合を、施術者が見分けることも重要です。崩れた状態の身体が抵抗なく不適切な介入を受けることは、生体にとって危険になりえます。これは、ロルフの言葉とされる次の発言にも一致します。「心理学者が不安感や不全感と診断するような状態には、必ず重力による支持の不十分さを示す身体的な状態が伴っている」。皮膚の境界感覚を含む適切なトーンが、これに関係しているのではないかと思います。

図6
図6:接触を伴わないクラス実演の前後写真。講師は自分のTPTの中心、身体表面のトーン、間に基づく位置に意識を向けた。写真は許可を得て掲載。

したがって私たちが求めるのは、防御的でも崩れてもいない健康な皮膚の張りと、それに伴う安全感です。それが介入を有益で効果的なものにする土台になります。介入への不快感や抵抗があれば、立ち止まり、なぜ身体が受け入れないという合図を示すのかを考える必要があります。位置が不適切、時機が不適切、身体に受け入れる準備がない、あるいは今は介入が不要なのかもしれません。身体は必要なときに有効に応答できる十分な張力をもち、同時に表面が安全・安心の感覚を与える身体境界として十分に機能する必要があります。

図7
図7:左は、施術者(A)からクライアント(B)へのワークが、同室の第三者Dai(C)に作用するかを調べた実験の配置。Daiはワークに直接関与せず、施術者の意図の対象でもない。右はDaiの前後写真。許可を得て掲載。
図8
図8:2022年、キャロル・アグネセンスがカリフォルニア州サンタクルーズで企画したクラス。参加者はZoomによる実演後、間の感覚を見いだすことができた。

このワークに広がる可能性

整えられた場の第三者への効果

ロルフムーブメントのワークショップでは、体調が悪く、積極的に参加せず室内で横になっていただけの参加者の状態が改善することを、しばしば観察しました。施術者の状態によって整えられ、クライアントの身体と共鳴する場に、意図して施術の枠組みに含めていない第三者の統合を促す力があるかどうか、実験を計画しました。施術者(A)である私がクライアント(B)に働きかけるあいだ、少し離れた脇にマッサージテーブルを設置し、第三者を横たえました。この人をDaiと呼び、位置(C)で示します(図7)。前後の写真を撮影しました。Daiに施術者の意図を向けたことは一度もありませんが、写真には左右のバランスの改善と全体的な上方への伸びが見られます。これは、整えられた場が、行われているワークと直接的な施術関係をもたない身体にも作用しうることを示唆します。

遠隔ワークの可能性

興味深いことに、ここで論じている方法は遠隔ワークにも応用でき、整えられた場の共鳴は時間と空間に制限されないとわかりました。私は新型コロナウイルス感染症のパンデミック当初から、遠隔セッションとグループワークを提供しています。2022年10月、日本の東京にいながらZoomを通じて、カリフォルニア州サンタクルーズの14人の受講生に教える機会がありました(図8)。受講生を施術者役とクライアント役に分け、まず1組で実演しました。施術者には、気楽で心地よく、TPTのセンタリングの感覚に触れられる場所を探すよう指示しました。その人がよい間の適切な位置を見つけていくあいだ、私は身体的共鳴によって、まるで自分がその人であるかのように、自分の身体でTPTのセンタリングの感覚をトラッキングできました。これにより自身の内受容感覚を通して施術者を導けました。適切な位置に落ち着くと、自分の肚が落ち着いて静まるのを感じました。さらに、参加者の大半が室内の適切な位置の重要性と、それが安全な環境を成立させる感覚に気づきました。このワークで典型的に見られるように、施術者が最初のよい間の位置を見つけると、モデルの身体でプロセスが始まりました。実演後、参加者はペアでこの内容に効果的に取り組めました。

図9に模式的に示した遠隔セッションも同様で、2か所に分かれているだけです。クライアントには自宅のテーブルやベッドで休んでもらい、その様子をZoomで見ます。私は内受容感覚を通したTPTのセンタリングで場を整え、自分のいる場所でさまざまな位置(A、A′、B、C)を探り、適切な間を見つけます。内的体験としては、同じ場所にいる場合と同じようにセッションが進みます。クライアントも、遠隔の施術者が適切な間を探して試す位置によって違いを感じると報告しています。

こうした遠隔の現象を科学的に説明することはできませんが、施術者がTPTの中心に同調し、場を感じていれば、遠隔ワークや遠隔指導はうまく機能するようです。

図9
図9:間は、空間における施術者とクライアントの関係に内在する。物理的に別の場所にいる遠隔の場合でも、施術者がTPTのセンタリングを用い、間に関してさまざまな位置をとるとき、双方が感じる共有の「空間」あるいは場があるように思われる。
図10
図10:TPTのセンタリングと間を用いた10回のロルフィングが身体構造と8-OHdG値に及ぼした効果。数値はセッション後の測定値。写真は許可を得て掲載。

酸化ストレスへの効果

ここでは、実証的な測定に踏み込むことができました。医師の下津浦康裕と協力し、TPTのセンタリングと間を用いたロルフィングが、8-ヒドロキシ-2′-デオキシグアノシン(8-OHdG)に与える効果を調べました。これは、さまざまながんや変性疾患のリスク評価に有用な生体指標です(Valavanidis et al. 2009)。

私たちの研究(Tahata and Shimotsuura 2021)では、ロルフィングの過程の写真記録とバイ・ディジタルO-リングテスト(BDORT)を用い、主としてシリーズ後にクライアントの8-OHdG値を測定しました。BDORTは応用キネシオロジーの一種とみなすことができ、測定はこの手法に熟練した下津浦医師(ORT-Md、7段資格)が行いました。セッションにはイールディング、TPTのセンタリング、間を用いました(図10)。12人中10人でシリーズ終了時の8-OHdG値が低下し、このワークが酸化ストレス低減に役立つ可能性が示唆されました。

BDORTは正統医学ではないため、セッションの効果をより直接的・実証的にも知りたいと思いました。そこで、1人のクライアントの尿中8-OHdG値を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で評価しました。図11はこの参加者のデータの一例です。彼女は抗酸化サプリメントを常用していましたが、初期の8-OHdG値は高値でした。3回のセッション後に慢性の首の痛みはなくなりましたが、8-OHdGは依然高値でした。コア構造に焦点を当てる第4〜7回を通して、尿中8-OHdGは理想的な低値の2.3μg/gCrまで下がりました。この間、トラウマの解放と、境界やコアの感覚の発見を経験しました。検査結果が統合の指標でもあったのかどうか、興味深く考えられます。

図11
図11:イールディング、TPTのセンタリング、間を用い、施術者とクライアントの両役を交代したワークショップ参加者1人の8-OHdG値。

同様に、TPTのセンタリングと間を用いる著者の3日間の「間とイールドの技法」ワークショップに参加した1人から、追加データを得ました。この人の尿中8-OHdG値は、外部委託のELISA(注5)で測定しました。参加者は毎日、施術者とクライアントの両方の役割でセッションを交換しました。徒手的操作による接触は行わず、主に施術者が最初のよい間の位置を見つけ、そこからクライアントを見守りました。図11のように、参加前は尿中8-OHdGが高値でしたが、3日間のうち2日と、40日後には低値でした。検査の添付資料では平均濃度は7.6μg/gCrで、4.2μg/gCr未満は低値とされ、がん、糖尿病、認知症などの生活習慣病のリスクの低さと関連するとされています。実習では、施術者はほぼ全時間を、最初のよい間の立ち位置からクライアントを見守ることに費やしました。徒手的操作による接触はありませんでした。

初期的な研究ですが、酸化ストレスの程度と統合の程度のあいだに逆相関の可能性を示す兆候が見られるのは興味深いことです。全般に8-OHdGの低値への低下を示す兆候が得られたことから、TPTのセンタリングと間を用いたロルフィングが、何らかの形で酸化ストレスを軽減し、全身の健康を支え、生活習慣病のリスクを下げる可能性があると推測できます。

最後に加えておきたいこと

私たちの細胞は絶えず入れ替わっています。細胞外マトリックスからの力学的刺激により、中胚葉性幹細胞(中胚葉由来)は、中胚葉系の組織(成人の骨や血管など)だけでなく、外胚葉系(皮膚や中枢神経系など)や内胚葉系(内臓など)の細胞にも分化しうることがわかっています。つまり、幹細胞が相互作用する基質の硬さを変えることで、外部から特定の液性分化誘導因子を加えずに分化を誘導できることが明らかになりました。これは、細胞を取り巻く環境、すなわち細胞外マトリックスや筋膜の力学的性質が、細胞の「運命」を決める重要な役割を担うことを意味します。

血球などの一部を除き、正常細胞は増殖・生存・分化の足場として細胞外マトリックスとの相互作用を必要とします。一方、がん細胞はその相互作用に依存せず、制御なく増殖します。一般にがん細胞は正常細胞より柔らかいことがわかっています。細胞骨格に支えられる細胞膜の硬さを変えると、がん細胞の運動性が変化し、浸潤や転移を抑制できることを示すデータが得られています(Tsujita et al. 2021)。

これらの知見は、身体に関わる実践者である私たちに、クライアントの全身につながりを成立させ、組織・細胞間の相互作用を高め、手や間によって教育される健康で適切なトーンをもたらす重要性を思い起こさせます。全身に適切なトーンが備わると、身体表面に強さをもつ境界が形成されます。明確な構造的境界と弾力ある機能が備わることで、先のCeeのケースで見たように、固有受容感覚が高まり、精神的・構造的安定に寄与する可能性があります。

結論

TPTのセンタリングと間の内受容的な感知は、効果的な統合のワークのために場を整える知覚的要素です。この方向性からのロルフィングは、適切なペースと精密なタイトレーションを支えつつ、クライアントの身体にプロセスが自発的に生まれることを可能にすると感じています。感受性の高い受講生がセッションで働きかけられすぎて「クックされる」のを防ぐ方法は、ロルフィングにとって画期的かもしれません。方向感覚を失う状態は、身体化と統合という私たちの目標に明らかに反するからです。

TPTのセンタリングと間を用いて効果的に働くには、施術者自身の成長が必要です。技法を学ぶよりも、肚の領域でTPTのセンタリングを感じ、グラウンディングを育み、よい間の場所を内受容的に見分けられる、微細な内受容感覚を発達させなければなりません。これが変容のために場を整える前提条件です。その先にあるのは、必要なプロセスの自然な発生を許す、穏やかで瞑想的な働き方です。変容を起こすには強い介入が必要だという思い込みの重荷から、私たちを解き放ってくれます。

謝辞

私の空間への知覚的な気づきは、メンターであるキャロル・アグネセンスとの学びを通して育まれました。彼女は米国の受講生に私のワークを教える機会も与えてくれました。近年では2022年の遠隔ワークショップと2023年の対面ワークショップがあります。日本のボディワーク「身がまま整体」の創始者、片山洋次郎は、共同ワークショップで動的な空間知覚を探究する手がかりをくれました。また、シナジェティクス研究所(https://synergetics.jp)代表の梶川泰司が設計したRTMを通して、探究と応用がさらに進み、身体的実践の発展と深化への着想を得ました。BDORTのセミナーで体心点を紹介してくださった大伴先生にも感謝します。

キーワード:重力;間;ジオパシック・ストレス;ロルフィングSI;キネスフィア;関係的位置づけ;肚;重心;イールディング;内受容感覚;筋膜;細胞骨格;張力;同調;テンセグリティ;適切なトーン;骨盤;ケーススタディ;遠隔ワーク;酸化ストレス。

初出:Structure, Function, Integration: Journal of the Dr. Ida Rolf Institute®, 2024年6月号(日本語版)。写真は掲載誌で許可を得て掲載されたものです。

Structure, Function, Integration Journal of the Dr. Ida Rolf Institute® / 2019年7月号

ロルフィング「10シリーズ」― 第2部

感覚の包みとしての表層

アート・オブ・イールドから見た、ロルフィング®10シリーズ「表層」セッションへの新たな視点

田畑浩良田畑浩良
認定アドバンスト・ロルファー®/ロルフムーブメント®インストラクター

要旨

著者は、アート・オブ・イールド(Tahata and Agneessens 2012)と間(ま)の役割(Tahata 2018)に関するこれまでの仕事をさらに発展させ、細胞科学の知見を取り入れて、表層における張力の影響、10シリーズの「表層」セッションにおけるイールディングと間の役割、そして私たちの介入に対するクライアントの身体の受容性を支える要素を、より深いレベルで理解しようとする。

問題を迂回しなさい。システムが変化できるだけの十分な弾力性をもつようにすれば、それは変化する。無理強いする必要はない。何としても避けなければならないのは、その無理強いなのだ。

アイダ・P・ロルフ(1990, 83)

10シリーズの最初の3セッションは、「スリーブ(袖)」セッション、あるいは「表層」セッションとみなされています。このモジュールは、その後の「コア」セッションに向けて身体を準備するうえで重要な役割を果たします。身体の応答性を高めるとともに、クライアントとのラポールを築く絶好の機会であり、それによってシリーズ全体を通じた「安全なマトリックス」を設定しやすくなります。

本稿は、「アート・オブ・イールド」に関する以前の論文(Agneessens and Tahata 2012)を踏まえています。このワークは、以前に述べたように(Tahata 2018)、時間・空間・間主観性を通した間への気づきによって、さらに洗練させることができます。(「間」は時間と空間の両方に関わる日本語で、とくに休止や何もない空間を指します。「よい間」は「よい風水」に近い概念といえるでしょう。つまり、現象学的に感じられる、空間とパターンの適切な認識です。)間を用いたワークは、何かが無理強いされていることに敏感なクライアントにとって、とりわけ有益です。無理強いとは、何かを正そうとする意図であったり、強い圧のタッチや焦点を絞りすぎた視線であったり、あるいはクライアントの身体が必要としていることと合致しない、施術者の思惑を満たすための一方的な介入であったりします。よく言われるように「知覚がすべて」です。施術者の知覚と間が組み合わさることで、高いレベルの「安全なマトリックス」(身体がイールドしていける「足場」)と、身体の自己調整システムにとってより大きなリソースとなる安全な「場」が生まれます。

細胞科学が表層に新たな視点をもたらす

まず、細胞科学の観点から表層を見ていきます。表層が刺激と「プレゼンス(存在の気配)」の両方に敏感であることを説明する、さまざまな要因が見えてきます。

ケラチノサイト:環境を知覚する主役

皮膚は防御の最前線であり、ケラチノサイト(表皮の大部分を占める細胞)は、生体と環境とのあいだのバリアとして働いています。傳田(Denda 2015)は、表皮が身体と環境とのインターフェースとして機能しうると述べています。表皮のケラチノサイトは、温度、気圧、色、光、音を感知する独自の感覚システムをもっているからです。したがって、体表を覆うケラチノサイトは、神経による感知よりも先に環境の情報をとらえることができます。ケラチノサイトは、ATPなどの細胞間情報伝達分子によって神経へ情報を伝えます。この伝達は(中枢神経系に即座にアクセスできないため)遅いかもしれませんが、ケラチノサイトは表皮層の95%を占め、密着結合によって互いにつながっているので、環境から感知された感覚情報は、意識にのぼらないレベルで、細胞を介した伝達によって共有されうるのです。このように、ケラチノサイトは大脳皮質を介さずに膨大な情報を感知し、集めているにちがいないと私は考えています。

プレゼンスのセンサーとしての毛

滝口ら(Takiguchi et al. 2007)は、人体が「準静電界」と呼ばれる、静電気のようなごく弱い電界に包まれていることを明らかにしています。電界の大きさや、プラスかマイナスかという電荷は、つねに揺らいでいます。これは、ロルフムーブメント・インテグレーションで「キネスフィア」と呼んでいるものの、部分的な科学的裏づけになるかもしれません。猫がときに、かなり遠くからでも飼い主の近づく気配を見事に感じ取るように、キネスフィアあるいは準静電界は、人間の感知のメカニズムなのかもしれません。感情が動いたとき、強い予感がしたとき、あるいは芸術作品を魂ごと受け取ったとき、私たちは本能的な反応として鳥肌が立ったり、肌が「ぞわっ」とする感覚を経験したりすることがあります。滝口は、気配は内耳の蝸牛有毛細胞と皮膚の毛を通して感じ取られると考えています。皮膚の毛につながる機械受容器は、平衡だけでなく空気の流れも感知できることがわかっているので、重力の感知とも密接な関係があります。

原初のアンテナ

すべての細胞は、一次繊毛と呼ばれる毛のようなアンテナを1本もっています。一次繊毛は、環境からの機械的・化学的刺激に応答し、その外部シグナルを細胞内部へ伝える感覚小器官です。さらに、一次繊毛が化学物質、光、浸透圧、温度、重力を感知する例も知られています(Satir, Pedersen, and Christensen 2010)。

一次繊毛のゲノムは、哺乳類から緑藻クラミドモナスのような単細胞の真核生物まで高度に保存されており、一次繊毛の機能が生命活動に不可欠であることを意味しています。軟骨細胞では、インテグリン(αβ)とNG2コンドロイチン硫酸プロテオグリカンが、繊毛膜で細胞外マトリックス(ECM)と相互作用しています(Seeger-Nukpezah and Golemis 2012)。

一次繊毛のゲノムに変異があると、繊毛病として知られるさまざまな疾患が生じます。内臓逆位、骨格異常、多指症、認知症などで、いずれも「構造」に関わるものです。

私の見方では、シナプスを介さない原初のコミュニケーション装置としての一次繊毛は、皮膚の毛の進化的な起源かもしれません。どちらも機械感覚の役割を担っているからです。皮膚の毛が準静電界を感知できるのなら、一次繊毛もこの電界に応答しているはずです。これらの小さな担い手たちが、環境を見張っているのです。

一次繊毛は細胞骨格の微小管に直接つながっており、その振動は細胞骨格を通じて細胞内へ何らかのシグナルを伝え、接着分子インテグリンを介してECM(≒筋膜)につながっていると考えられています。逆に、筋膜への機械的刺激が一次繊毛に影響を与えることもあるでしょう。したがって、タッチによる介入は、一次繊毛のふるまいに何らかの影響を与えうるのです。

ハイパーソニック・エフェクト

ハイパーソニック・エフェクトの研究で、大橋力(Oohashi 2000)は、高周波成分(HFC。熱帯雨林、インドネシアのガムラン音楽、日本の楽器のような伝統的な民族音楽などに含まれる)をもつ音が脳の活動に影響を与えることを示しました。これらの研究から、ハイパーソニック・エフェクトによって、脳の血流が増し、脳のα波が増強され、免疫系が高まり、ストレスホルモンが減少しうることが明らかになっています。興味深いことに、ピアノのような近代の楽器にはこの治療的効果がありません。脳の活動への治療的効果は、全身でHFCを「浴びる」ことで生じ、ヘッドホンだけで聴いても治療的効果はないことが研究で示されています。HFCは一種のポリリズム的な振動です。機械的な振動が同様の治療的効果をもたらすというデータはありませんが、徒手療法家のタッチから伝わる、コヒーレンス(一貫性)をもった特定の振動も、脳の活動に何らかの影響を与えうるのではないかと私は推測しています。

いうまでもなく、音の振動は、従来の徒手療法で用いられる圧という機械的ストレスに比べて、きわめて微細です。

音の振動は、細胞レベルで一次繊毛に影響を与える可能性もあります。私たちのタッチはさまざまな周波数の物理的振動を身体に伝えうるので、タッチによる介入は一次繊毛のふるまいに何らかの影響を与えるかもしれません。

ここからの私の結論

身体を構成するすべての細胞は機械的ストレスにさらされており、適切な機械感覚によって恒常性を維持している、と考える研究者もいます(Humphrey et al. 2014; Sawada et al. 2016)。彼らは、多くの疾患がこのバランスの破綻によって引き起こされる可能性があると仮定しています。

上記の研究から私が導いた結論は、環境中のあらゆる刺激は、神経や視覚で認識されるよりも先に、感覚細胞を通して身体の表層で知覚されているということを、新たな形で自覚しなければならない、ということです。したがって、感覚の包みとしての表層に働きかけることは、スリーブ・セッションをコア・セッションのための準備作業とみなす従来の見方をはるかに超えて、身体を統合する大きな可能性を秘めています。こうしたメカニズムを通して細胞に作用する介入は、神経シナプスより遅いとしても、シナプスを介さない細胞の原初的なコミュニケーションに影響を与えるかもしれません。

表層の損傷がもたらす影響

歯科の研究から、歯周病の後期段階における歯槽骨吸収のきっかけは、表層の歯肉の炎症であることが明らかになっています。したがって、慢性的な歯肉の炎症を抑えることが対策になります。つまり、表に現れている主要な問題に対処するのではなく、表層に働きかけるのです。

坂本(Sakamoto 2007)は、免疫原性のないリンゲル液を家兎の大腿四頭筋に筋肉内(IM)投与した場合と皮下(SC)投与した場合とを比較し、注射に対する線維化反応を調べました。(リンゲル液とは対照的に、抗生物質や、ワクチン接種に用いるアジュバント溶液の投与は、後述のように組織を損傷する可能性があります。)

図1に示すように、IM注射による筋層の損傷は、治癒の過程をたどりました。一方、SC注射による皮下層の損傷は、筋線維束攣縮(ファシキュレーション)を誘発し、筋拘縮に至りました。筋拘縮が表層の病変に由来することに注目すると、ソマティックな実践においては、まず表層の一次的な制限に働きかけることなく線維化した筋肉を動かそうとしても、効率的ではないかもしれないと推測できます。

SC注射の場合、一次的な制限は筋層ではなく皮膚の層にとどまっていました。アジュバント(抗原に対する身体の免疫応答を高める物質)や抗生物質(クロラムフェニコールなど)を含む注射液は、IM投与かSC投与か、あるいは反復注射かにかかわらず、注射部位の周囲に線維化反応や壊死を促しうることが知られています。

昨年初め、ベニアスら(Benias et al. 2018)は、新たな「器官」である間質(インタースティシャム)を発見しました。間質は、コラーゲン線維束のネットワークに支えられた、液体で満たされた空間からなり、その片側は未分化の多能性細胞で裏打ちされています。間質は全身の結合組織に存在するため、徒手医学では広く「筋膜」として認識されうるものです。SC層には、液体で満たされた間質腔が豊富にあります。

ベニアスらは、間質が細胞間の水、栄養、情報伝達分子の輸送に重要な役割を果たしていると示唆しています。皮下で間質の一部が損傷すると、この輸送が妨げられ、老廃物がたまり、炎症を誘発するかもしれません。皮膚の感覚システムは、機能する間質の支えなしには適切に働けません。図1に示したSC注射による線維化は、皮下層における間質の輸送の機能不全によって引き起こされたのではないかと、私は考えています。

前述した表皮の主要な細胞であるケラチノサイトは、侵害受容(紫外線や機械的刺激など、環境からの侵襲的な刺激)に応答して、TNF-αやIL-1などの炎症性メディエーターを放出します。保護的な細胞応答が炎症であり、ケラチノサイトは、緊急事態を免疫担当細胞に知らせる警報シグナルとして炎症性メディエーターを分泌します。ケラチノサイトは、痛みへの感受性を高めるNGF(神経成長因子)も分泌します。痛みが持続したり慢性炎症があったりすると、これがトラウマ・ボルテックスにも似た、痛みと痛覚過敏の悪循環につながります。ケラチノサイトをリセットしてこの「誤報」が解除されるまで、攻撃する対象がなくても炎症は続くのです。

図1
図1:リンゲル液(線維化反応を誘発する成分を含まない人工の間質液)の注射が各層に及ぼす影響。上図は、IM注射によって筋肉にびまん性の線維増殖と拘縮が生じたが、30週後には損傷組織がほぼ回復したことを示す。対照的に下図は、同じ溶液をSC注射で投与すると、SC腔に線維化反応が生じ、注射の約10週後からは筋線維の線維束攣縮も始まり、続いて表層の筋層に局所的な線維化が、場合によっては筋層全体にびまん性の線維化が生じ、30週後も病変が残っていたことを示す。図は『昭和医学会雑誌』67(1): 43-50(2007)のデータを参照して田畑が作成。

しかし、ケラチノサイトは、快の感覚をもたらすドーパミンや、鎮痛作用のあるβエンドルフィンといった脳の神経伝達物質を分泌することもできます。発生学的に脳と皮膚がどちらも外胚葉に由来することを考えれば、これは不思議なことではありません。このことから、この悪循環から抜け出すために、侵害刺激とは正反対のものを表皮層に「入力」することが有益かもしれないと私は考えます。私の見るところ、そうすることで、トラウマを負った組織は、警報のない時間と空間を「思い出し」、あるいは、防御反応の対極にある心地よい感覚に関わるドーパミンのような快のシグナル分子を通じて、他の細胞と交流していた関係を「思い出す」ことができるのかもしれません。

慢性炎症は、さまざまな疾患の根底にあると考えられることから、医学で注目されているテーマです。表皮層をなだめることは、不要な炎症を減らす一つの手段になるかもしれないと私は考えています。

イールディングによって身体は深く休める

図2
図2:イールディングの過程。左はイールディングの過程に対する身体の応答。右は、細胞が支持面と相互作用し(「フィッティング」)、次いで隣接する関係のなかで相互作用する(「スプレッディング」)際の、細胞のメカニズムの仮説。順に、タッチが足場を与え(a)、「落ち着き」(b)と「フィッティング」(c)が始まる。次に、マトリックス内の細胞が相互作用し(d)、マトリックスの広がりにつながる(e)。細胞膜とマトリックスの関係が確立すると、最下層の細胞がマトリックスとして機能し、その上の層が連鎖的にそこへイールドしていけるようになる。

アート・オブ・イールドは、身体が支えに身をゆだねることを基盤としています。図2に示すように、テーブルへの身体の「イールディング」はタッチによって促されます。この動きは、タッチが関わる表面から始まります。身体が接触面に休むと、支持面(たとえばマッサージテーブル)に接した細胞は、その「非自己」と相互作用し始め、次いで、図2の「フィッティング」と「スプレッディング」の過程に示唆したように、隣接する細胞の張力を感知し始めます。細胞が重力へのイールディングを許すにつれて流動性が高まり、内的な緊張をなだめる効果が生じると考えられます。落ち着いた呼吸と調和したポリリズム的な振動は、接触面に休むことを助けるかもしれません。テーブルに接している表層のケラチノサイトは直接影響を受け、接触面を通して環境との親和性が高まるにつれて、細胞骨格が再編成されるのではないかと推測しています。

イールディングのアプローチや間を用いたセッションが身体に持続的な効果をもたらす理由について、一つ考えられる解釈は、それらが睡眠中の身体の回復力を高めるのかもしれない、ということです。身体が本当に「イールディング」を体験したなら、その応答は夜ごとの睡眠のなかで何度も戻ってくるかもしれません。それによって身体は規則的に落ち着いて圧迫から解放され、蓄積した内的な緊張が毎日解き放たれ、リセットされるのです。このことは、その日の緊張を持ち越さずによく眠れるようになったという、私のクライアントの何人かの体験談からも裏づけられます。アート・オブ・イールドが神経系を鎮めうることを示唆しています。

対照的に、以前、筋膜リリースの手法で標準的なファースト・アワーを行っていたころ、睡眠中にさえ覚醒が高まったと話すクライアントがいました。イールディングのアプローチを取り入れてからは、筋膜テクニックを使わずにファースト・アワーの目標に沿ったワークを続けていますが、睡眠中の覚醒についてそのようなフィードバックを聞いたことはありません。

マッサージテーブルの上でイールディングの状態を体験したあと、身体は、自分が沈み込んでいった方向に空間(キネスフィア)の感覚を感じられるようになります。したがって、テーブルワーク中にクライアントに姿勢を変えてもらい、さまざまな面が接触面へイールドして、包み全体をカバーできるようにすることには意味があります。

イールディングの理解を広げる

これらの最新の知見を、以前に述べたイールディングのコンディショニング(Agneessens and Tahata 2012)、および間の役割(Tahata 2018)と合わせると、イールディングと間は、身体の応答性を高め、表皮層をなだめ、クライアントが介入をより受け入れやすくなるよう支える、というのが私の提案です。間に関する論文(Tahata 2018)で述べたように、施術者は自分自身の感覚にきわめて敏感である必要があります。たとえば、クライアントに近づくことにためらいを感じるなら、あなたはクライアントの状態と共鳴しているのかもしれません。心地よく、できるだけくつろいだ状態を保ち、クライアントのシステムが抵抗なく変化に開かれていると感じられるまで待ちましょう。これがセッションの土台であり、安全なマトリックスだと私は考えています。

ここで、これまで論じてきた要素をもとに、体験的に理解するための実習を紹介します。

表層の感覚の包みに働きかける

1.毎回のセッションで、間とイールディングを用いて、クライアントをワークに向けて「コンディショニング」します(以前の論文、Agneessens and Tahata 2012とTahata 2018を参照)。あなたは準静電界、つまり一次繊毛を通してプレゼンスを感じ取っている身体の部分と相互作用しています。

2.マッサージテーブルへのイールディングを支えるように、身体に触れます。皮下層にある間質腔――体表全体に連続している液体の空間――を見つけられると想像してください。

3.皮下の間質腔に触れたら、その流動性を見つけ、流れにやさしく従います。

4.私たちが触れるたびに、表層はつねに応答します。感覚をもつ表皮、ケラチノサイト、そしてメルケル細胞(ケラチノサイト層と真皮のあいだに埋め込まれており、軽いタッチに応答することがわかっています)を考慮しながら、働きかけている場所に触れます。

5.タッチが侵害刺激として知覚されないよう、タイトレーションを意識して介入します。(ケラチノサイトが介入を侵害と知覚すると、感作されて炎症性サイトカインを分泌し、体験は安全から遠ざかってしまいます。)

付録:生命における健康と秩序

生存と正常な成長のために、細胞は細胞外マトリックスや他の細胞に接着する必要があります。そうではなく「足場非依存性」――他の細胞や細胞外マトリックス(ECM)との関係から離脱すること――がある場合、それががん化です。したがって、集団のなかの細胞が周囲との適切な関係を「再構築」することは、身体にとって意味があるはずです。安全な状況のもとで他者と相互作用することは、ミクロの細胞レベルであれ、マクロの身体レベルであれ、健康を取り戻す鍵なのかもしれません。

このことをさらに考えるために、ハダカデバネズミ(NMR;Heterocephalus glaber)を取り上げましょう。生体模倣(バイオミミクリー)の観点から注目される動物で、その珍しい特徴には、1)低酸素状態への耐性、2)痛みへの耐性、3)長寿、4)老化しないこと、5)がんへの抵抗性、6)接触阻害の感受性、があります。ここでは「接触阻害」を手がかりにします。

正常な細胞には、組織の適切な成長を調節する接触阻害があります。隣接する細胞と接触することで、(秩序を保つために)増殖を止める時を知っているのです。がん細胞が本来の接触阻害を失っていることはよく知られており、そのため単層培養で隣り合う細胞が互いに触れても分裂を続けます。セルアノフら(Seluanov et al. 2009)は、NMRの線維芽細胞がごく低い細胞密度で接触阻害を起こすことを示しています。つまり、この長寿のげっ歯類の線維芽細胞は、他の短命なげっ歯類の線維芽細胞よりも、周囲に多くの空間を必要とするのです。さらに、NMRの線維芽細胞は離れたところから他の線維芽細胞を知覚でき、密集したり過密になったりする前に成長を止めることができます。アート・オブ・イールドの用語でいえば、NMRの線維芽細胞は「間」の感覚に優れているのです。

正常な細胞には「足場依存性」――生存と成長のために「足場」となる面を必要とすること――があります。また接触阻害も備えており、それは事実上、秩序が保たれるよう他の細胞とうまくやっていくことを意味します。このことは、「接触」への感受性が生命の秩序に関係していることを示唆しているのかもしれません。一次繊毛が、隣接する細胞の感知に重要な役割を果たしているのではないかと私は推測しています。正常な細胞とは対照的に、ほとんどのがん細胞はECMや他の細胞との関係を失っており、興味深いことに、がん細胞の多くは一次繊毛も失っています。これらの関係をまとめたものを図3に示します。

NMR 正常細胞 がん細胞
(1) 足場依存性 + + -
(2) 接触阻害 ++ + -
(3) 一次繊毛 + + -
図3:正常細胞、がん細胞、および参照としてのハダカデバネズミ(NMR)の比較。1)足場依存性はECMとの関係を、2)接触阻害は隣接する細胞との関係を示す。3)一次繊毛は環境への応答性を示唆する。

がん細胞は無秩序な状態にあり、一般にECM、他の細胞、そして環境との関係を失っています。このことから、ECM、他の細胞、環境との関係を再構築することは、生命の秩序にとって意味があるのかもしれません。

アート・オブ・イールドで行う「コンディショニング」(Agneessens and Tahata 2012; Tahata 2018)は、細胞が安全なマトリックスという条件のもとで自らの環境を思い出すための、繰り返しの「教育的」プロセスです。このプロセスは繊細でゆっくりとした「前神経的」なもので、有髄神経系の速い経路とは正反対のものです。これを比喩的に語るために、マハトマ・ガンディーの言葉を引用しましょう。「良きことはカタツムリのようにゆっくり進む。だから、自分のためでなく人々のために働く人は、いたずらに急がない。なぜなら、人々が良きことを受け入れるには、多くの時間が必要なことを知っているからだ」。これは、徒手療法に携わり、細胞の生命のこうした深い基盤に働きかけたいと願う私たちにとって、よい指針です。

初出:Structure, Function, Integration: Journal of the Dr. Ida Rolf Institute®, 2019年7月号(日本語訳)。

 

論稿

Agneessens, C., & Tahata, H. (2012). Yielding: Engaging touch, presence, and the physiology of wholeness. Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute®, 40(1), 10–16.
イールド、タッチ、プレゼンス、細胞・細胞外マトリックスの観点を結びつけた論稿。


Tahata, H. (2012). Case studies with yielding: Application for joint/lordosis involvement. Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute®, 40(1), 31–33.
関節や脊柱前弯に関わる事例を通した、イールドの応用報告。


Tahata, H., & Hoff, A. (2014). The experience of working in post-disaster Fukushima. Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute®, 42(1), 10–12.
東日本大震災後の福島で、同僚のロルファーとともに行った支援ワークショップとセッションの報告。


Tahata, H. (2014). Case studies with yielding, part 2: Application for octogenarians. Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute®, 42(2), 13–16.
80歳代のクライアントに対するイールドの応用事例。


Tahata, H. (2015). [Contribution to “Ask the faculty: Current fascinations and obsessions”]. Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute®, 43(1), 5.
施術者の知覚が場の変容をどのように生み出すか、という探究についての短い回答。


Tahata, H., & McConnell, K. (2015). Rolf Movement® faculty perspectives: The art of yield―An interview with Hiroyoshi Tahata. Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute®, 43(3), 3–4.
Kathy McConnellによるインタビュー。


Tahata, H. (2018). [Contribution to “Ask the faculty: About feet”]. Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute®, 46(1), 4–6.
足を通した接地への信頼、イールドと支持の回復についての症例報告。


Tahata, H. (2018). Working with ma: Further refinement of the yielding approach through time, space, and intersubjectivity. Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute®, 46(1), 44–51.
時間・空間・間主観性を通して、イールドのアプローチを「間(ma)」へと展開した論稿。


Tahata, H. (2019). The superficial layer as sensory envelope: New perspectives from the art of yield about the ‘superficial’ sessions of the Rolfing® series. Structure, Function, Integration: Journal of the Dr. Ida Rolf Institute®, 47(2), 37–42.
表層を感覚的な包絡として捉え、細胞科学とイールドの観点から10シリーズの表層セッションを考察した論稿。


Tahata, H. (2020). [Contribution to “Ask the faculty: Start at the beginning with breath”]. Structure, Function, Integration: Journal of the Dr. Ida Rolf Institute®, 48(2), 7–8.
パンデミック下の呼吸と安全感、間(ma)を用いたオンラインセッションについて。


Tahata, H. (2024). Space, ground, and gravity: Tuning our practitioner body to suitable tone and ma sensitivity. Structure, Function, Integration: Journal of the Dr. Ida Rolf Institute®, 52(1), 34–49.
肚を通した内受容感覚、適切なトーン、間(ma)への感受性、共鳴するテンセグリティと臨床事例を扱う論稿。


口頭発表

Working with Ma through Rolfing Structural Integration – New Perspectives of Manual Intervention. 口頭発表、International Conference on Traditional Medicine and Ethnomedical Research(ICTM 2019)


Case Studies of Rolfing Structural Integration Incorporated with the Art of Yield. 田畑浩良・下津浦康裕(M.D.)、口頭発表、European Congress of Integrative Medicine(ECIM 2018)


研究員時代

Tsuji-Takayama K, Tahata H, et al. Interferon-gamma enhances megakaryocyte colony-stimulating activity in murine bone marrow cells. J Interferon Cytokine Res. 1996;16(9):701–8.


Tsuji-Takayama K, Harashima A, Tahata H, et al. IFN-gamma in combination with IL-3 accelerates platelet recovery in mice with 5-fluorouracil-induced marrow aplasia. J Interferon Cytokine Res. 1996;16(6):447–51.


ヒト細胞培養由来の巨核球増強因子に関する研究. 日本生化学会大会(仙台)『生化学』第67巻・第7号(1995年)


US Patent 5,910,303(US5910303A)Agent for promoting the platelet and the leukocyte productions(血小板および白血球の産生促進剤)発明者:Kazue Takayama, Akira Harashima, Tsunetaka Ohta, Noboru Izumi, Hiroyoshi Tahata, Masashi Kurimoto


 

著書

片山洋次郎・田畑浩良・藤本靖(2024)『共鳴するからだ』晶文社
整体・ロルフィング・身体の専門家の3人が、「空間身体学」の視点から、からだと場の共鳴について語った本。
 
 

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